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異なる時空:回顧“はじまり”
再び現れた白い光に目が眩む


瞼の裏に浮かび上がる彼の人



そしてー



未麻という名の自分に似た女性



顔は見たことなくとも、かか様の名前を忘れたことなどない



それに、とと様が以前仰っていた


ーアイツに益々似てきたな…と





やはりあれが…かか様なら…

何故…

あの殿方とご一緒で?



しかも平家が敵であるかのような話し方…




一体、私に…何が起こっているの…?





散りばめられたパーツは

欠け過ぎていて

決して一つになどならない






「あなたは知る事を望む?」





突然頭の中に響いてきた声


先ほどからいるこの真っ白な空間には


人の気配などない



こんな状況に置かれていても

不思議と怖くないのは何故なんだろう





「あなたは知る事を望む?」



今一度問い掛けられ櫻は尋ね返す




『どなた様でいらっしゃいますか?

勿論、知りとうございます。』


「私は白き龍たる者。あなたに見せる…私の記憶の一部を。

そしてー

あなたは知る、やるべき事が何かを。」


『私がやるべき事…?』




櫻がそう呟くと

突如、目の前に映し出された光景に息を呑んだ。






暗闇に響く馬の足音

叫び声と共に唸る剣の音


黒い髪を靡かせて飛びかかる女兵に


剣を突き上げ立ち向かう男




その男になんだか見覚えがある…ような…



女の顔は見えないが男の驚愕の表情から旧知の仲であることが窺える




『未麻!』


胸を突き抜かれた女が地面に落ちて行くのを男が抱き留め、そして悲痛な声で叫ぶ


「将…臣が…還…内府…」


息絶え絶えに女は呟いた





男のその声に…その名に…

残っている面影に…

男の正体が明らかになると共に

目の前で起こっている事が

全く理解できなくなる




若かりし父が殺めたのは…

亡き今でも想い続けている最愛の母なのだから…





最後に紡がれた愛の言葉に


心のどこかでホッとしながらも


呆然と二人を見つめていた



頭の中で飛び交う疑問符


愛し合っていた二人が…何故?





暫しの間の後、黒い布に身を包まれた男が薙刀を振り上げ二人に…否とと様に襲いかかるのを

突如現れた金髪の長身の男が止める。




あの御方は…先ほどの謎の空間で

彼の人に“先生”と呼ばれていた…




何やら話をしているが内容までは聞き取れなかった




薙刀の男が後方に退くと

先生と呼ばれている男が懐から

何かを取り出し、とと様に差し出した




櫻はそれを見て瞬時に、自分の掌の中の同じそれに目を向けた


ー白い鱗のような破片



「お前は言ったではないか、自分の力で運命など変えてみせると。

やってみなさい。」


掛けられたその言葉にとと様は顔を上げると白い鱗を握り締めた。





その瞬間同じあの白い光が掌から溢れ出したかと思ったらとと様を包み込む


その光が消えた時にはとと様の姿はそこにはなかった。







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