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とある一時
各々がやりたい事をする宴の前の梶原邸

厨に集まるメンバーは自然と決まっているー朔、未麻そして譲だ

濡れ縁で肩肘をついて横たわる将臣は、庭で剣の稽古をしている九郎、望美、リズヴァーンをぼーっと見ていた。

あまりの熱血ぶりに自らも仲間に入る気には到底なれなかったのだ。

部活なんてものに所属したことはないが、テレビで見る運動部のようだ。

「すごいよね〜、俺には絶対真似できないな〜。」

どこからか現れた景時が隣に腰を下ろし、一言呟いた。

『ああ…俺にもあのノリは無理だ。』

「のり?」

『まあ…雰囲気みたいなもんか?』

「う〜ん、何となく分かったかな〜。でも君たちの言葉って面白いよね。話を聞いてると言葉だけじゃなく、色々とあるみたいだしねぇ。今度ゆっくり話を聞かせてよ。」

言いたい事だけ言うと景時はすーっと立ち上がる。

「将臣くん、どうやら宴の準備が整いそうだよ。あの3人に声かけといてくれる?
俺は朔を手伝ってくるからさ〜。」

景時の落ち着きのなさに唖然とし、景時の背をじーっと見つめる。

んなワケねぇよな。

将臣が知っている同姓同名の男のイメージとは似ても似つかない。

“梶原景時”

源氏の軍奉行、平家を裏切り、義経を陥れた男…

あんな温厚で、チャラチャラした雰囲気の男なわけがない


名前を聞いてドキリとしたが、どうやら自分が敏感になりすぎてるらしい。

弁慶だってそうだ。

そんなにいる名前じゃないが、史実の弁慶は義経と橋の上でやり合える大男だったはず。

あんな女みたいな綺麗な顔した男だとは思えない。

『平家と源氏ってのに過敏になりすぎちまってるな…』

ボソッと呟くと、稽古中の3人の方に歩み寄る。

『将臣くんも、どう?』

少し息が上がった望美が嬉しそうに尋ねてきた。

『勘弁してくれって。もう時間だとよ。』

「ではこれまでに。2人とも素早く汗でも流してくるといい。」

そう言い纏めたリズヴァーンはやはり
顧問のように将臣には見えたのだった。

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