信じがたい事実 「弁慶いるか!」 威勢のよい声と共に、勢いよく開けられる襖 部屋の中からの返事を待たず一歩踏み入れた九郎は、自分の目に飛び込んできた状況が理解できず呆然と立ち尽くす。 『何ですか、九郎?君という人は勝手に入ってきて…少しは空気を読んでもらえませんか?』 「す、すまない。」 真っ赤になった顔を逸らしながら、九郎は弁慶に尋ねる。 「無理矢理…抱いたのか?」 『僕にしがみついたまま眠る彼女が、嫌がってるように見えますか?』 行為の後、そのまま意識を手放してしまった未麻は、弁慶の胸の中で深い眠りについていた。 「…っ…!!」 信じられない光景に顔を歪める九郎。 悪い夢であって欲しいと願いたいが、この状況の説明がつかない。 昨日… 何があったと言うんだ! 俺は無理にでも 手を離してなど 行けなかったんだ。 弁慶の部屋を飛び出していた九郎は、廊の突き当たりで床に跪く。 ただ… 己の愚かさを1人嘆くことしかできずに。 [*前へ][次へ#] [戻る] |