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三日ぶり
九郎はあれから三日三晩眠り続けた。

その間もリズヴァーン、弁慶、未麻の3人は交代で九郎の看病に徹した。

未麻は時間に余裕がある時はリズヴァーンに剣術を習っていた。

もともと武道に携わっていたことも手伝って、未麻の上達ぶりは師であるリズヴァーンでさえも驚くほどだった。

稽古でかいた汗を洗い流し未麻は九郎の部屋に向かった。

部屋の前に立つと中から何やら話し声が聞こえる。

その声が九郎のものだと分かると未麻は勢いよく襖を開けると部屋になだれ込んだ。

「九郎!
目が覚めたんだね。」

嬉しそうに寄ってくる未麻を見て九郎は目を丸くして驚いている。

それもそのはず、九郎にとっては、ついさっき会ったようなものだったからだ。

『かたじけない。お前にも心配をかけてしまったようだな。武士たるものが…』

九郎は自分の不甲斐なさに気落ちしている。

『九郎、未麻の看病があったお陰でこうして早く治ったんですよ。彼女に感謝して下さいね。』

弁慶は意味あり気に未麻を見て話す。

未麻は嫌な予感がしてならなかった。

弁慶を止めなければーと思った時には時既に遅し…

弁慶はまた話始めていた。

『彼女は苦い薬湯をわざわざ自分の口に含ませて九郎に飲ませてあげたんですよ。苦かったでしょうね。』「べ、別にい、い、意味はー」

弁慶が未麻を引き寄せ、手で未麻の口を塞ぐ。

『九郎、あなたは意識はなかったとしても未麻を離さないでいたんですよ。
ふふ…っ、なかなかやりますね…九郎』

九郎は何が起きてるか一瞬把握できなかったが、目の前で弁慶に取り押さえられている未麻は耳まで真っ赤にして弁慶に抵抗している。

『そ、それは…ほ、ほ、本当なのか!?
寝ていたとは言え女子にそんな…そんな…』

九郎まで真っ赤になってしまい、空気はますます痛いものになる。

誰か…この妙な空気を…


襖がすっと開き食事を持ったリズヴァーンが現れた。

リズヴァーンには弁慶と未麻は仲良くじゃれあっているようにしか見えなかったが、とりあえず2人を無視し九郎の前に来る。

「目覚めたのか。気分はどうだ、九郎?」

『先生…、まだ痛みで手は動かせないが体のだるさはないようです。本当にすみません…。修行が足りなかったようです。』

「とりあえず今は静養するのみ。その後のことはそれから考えればよい。
九郎、未麻を助けてくれてありがとう。お前がいなかったら…未麻は生きてはいなかったかも知れぬ。」

自分の師に思わぬ所で感謝され照れる九郎。

『食事はまだ自分ではとれないでしょうから未麻が食べさせてあげるのはどうでしょう?』

弁慶がリズヴァーンに尋ねる。


また何変な事言っちゃってんのよ…弁慶は。

まあお兄ちゃんに限っては同意しなー

「男どもよりかはいいだろう。未麻、そのくらい大丈夫だろう?」

頼みの綱も切れてしまった。

意識しなきゃいいんだ。好きでもないんだから。

そう自分に言い聞かせると匙を取ろうとした。

が、誰かが私の手を掴む。

九郎だ。

『気にするな、これくらい自分で出来る。』

九郎は匙を持つがどうも上手く口まで運べない。

見ていてなんだか痛々しい。

『ほら、未麻』
「後は頼む。」

周りで見ていた2人は未麻の肩を叩くとそのまま部屋を出て行ってしまった。

廊を歩きながらリズヴァーンが呟いた。

「そんなに2人が気になるなら、何故出てきたのだ?」

『僕は別に…。』

「ならいいが、あまり未麻の反応で遊ぶな。」

『何故か…構いたくなるんですよ。』

それも愛情表現か…

私にはないものだな

2人はそのまま夕餉を食べに行ったのだった。

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