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学園天国!
どうしてくれんだ!







「クフフのフ〜!」

「いっぺん死んでください変態教師」

「いっぺん殺してやろうか南国果実」

「…悪い意味で息ぴったりですね」

「「だまれ」」



─────…



むなくそわるい。
昨日からずっと、だ。

息ぴったりだとか、
似た者同士だとか。
ぜったい、いやだ。


「ほんとに、コンビが組めそうですね……」

「校長ー、六道先生がセクハラしてきまーす」

「な、やめてくださいよ。誤解されます」

「確かにしそうな顔してるよね」

「え、セクハラしそうな顔って、欲求不満そうな顔ってことですか?」

白衣の教師は自分の顔を両手で覆い、僕は欲求不満じゃないですよ…と嘆く。
それは、色んな意味でまた問題発言ですが。


「…今日ここに来たのは、先生を弄って遊ぶためじゃないんです」

「………そう、なんですか?」

六道先生は私たちの言いたいことが何となく分かったらしく、わざと白を切って珈琲を口に運ぶ。

先生が犯人だってことは、もう分かってるんですよ。


「…山本武に、"惚れ薬"を盛りましたね?」

「………はて、」

どうでしょう?
クフ…と鼻で笑う彼。
どうしてどいつもこいつも、自分の作戦がばれて嬉しそうな顔をするんだ。

まるで今さら気付いたのかとでも言いたげな、私にとっては大層腹の立つ顔だ。

「誤魔化さないでください。でなければあの純粋な野球少年が、野球以外に現つを抜かすとは思えません」

「それはそれは…とんだ偏見ですね田中さん」

科学的思考において、決定的かつ根拠がひとつしか無いという答えはありませんが。
いつでも常に、色んな事柄が複雑に絡み合ってうまく回っているのです。

彼は授業で回収されたプリントの山をパラパラと指で捲り、ため息をついた。


…これだから勉強ができるやつは嫌いだ。
色んな事を知りすぎているが故に、最終的な答えをひとつにまとめられない。


私はむぅ、と口をつぐんだ。


「…その"惚れ薬"を無効にする方法は、ないの?」

さっきまで黙っていた雲雀恭弥が、突然口を開いた。

…て、なにお前までちゃっかり珈琲飲んでんの?
しかも色薄!
どんだけミルク入れてんだこいつ……。


「"惚れ薬"を無効に…ですか」

六道先生はもうひとつスティックシュガーを取出し、珈琲に注ぐ。
(…おまえも甘党か?)


「出来なくはないですが…ね」

彼は確かに、そう言った。

「無効に、できるんですか?」

私は彼の言葉を咀嚼して、反復した。
なかったことにできる?

それは、思ってもみない言葉だった。
もしこの…私の体内に巣食う心配の根源を消すことができたなら、どれだけいいだろう。

それじゃなくてもスナネズミと山本武で、薬に効果があることを立証してしまっているんだ。
私たちの対で飲んだ薬だけが効かないなんて、あり得ない。
今は効果が現れていないかもしれないが、いつか…、きっと。


「教えてください!」

焦らすように珈琲をゆったり飲んでいる彼に痺れが切れて、ついつい声を荒げてしまった。

六道先生は顔をあげ、私の目をまじまじと覗き込む。


「田中さんは、そんな表情も出来るんですね…」

なにか自分に言い聞かせるように呟いた彼を見たかと思えば、
今まで珈琲ばかり飲んでいた甘党の雲雀恭弥に腕を引かれる。


「な、なんだよ…」

ちょっとよろけて、強引に彼の後ろへ下げられた。


「君はほんとに……、もう見てられないよ」

すぐに害のある方に自分から近づくんだから。

不機嫌そうに寄せられた眉。
それは「学習能力がないのか」という馬鹿にしたそれと違って、どちらかというと「僕が困るんだ」という困惑も混じっていたように思う。


「わ、悪い…」

なんだか彼に迷惑をかけたような気がして、ここは、謝っておこう。

雲雀恭弥はクフフと妖しげに微笑む先生を睨み付け、「勿体ぶらずに教えろ」と殺気を孕んだ声で言った。

そう、そうだ。
薬を無効にする方法!


「クフフ…簡単ですよ」

先生は組んだ長い足を組み換える。
膝に肘をついて、私たちを見据えた。
ごく…っと固唾を飲む。



「薬を無効にする方法…、それは、両想いになればいいんです」


「……」

「………えっ、」

そ、それだ、け…?

クハハクハハ!と六道先生は笑う。僕の開発した惚れ薬からは、逃れられませんからね。


「ちょ、ちょっと待ってください先生」

もしかして先生は、無効にできないような危ない薬を私たちに飲ませたんですか?

愕然……というより血の気が失せていくような気分だった。
これでは………
このままでは、いずれ…、私たちは。


「ちょっと待って」

最悪のパターンが頭を過ったとき。雲雀は、それを遮るように言葉を紡ぐ。


「今の話はおかしい」

空っぽになった砂糖まみれのティーカップを机に置いて、雲雀恭弥は先生をまた睨んだ。


「それなら、君の薬は完璧のはずでしょ」

なのに、僕たちには効かない。どういうこと?

それを聞いた六道先生は、至極うれしそうな笑みを浮かべた。
コポ…と彼のとなりの薄紫をした薬品が気泡を出す。


「そこが、僕の悩みの種なんです」

僕の研究は完璧だった。
現に山本武に効いている。…なのに。

いや、山本武自体の結果にも驚きなんです。彼は誰かと対で薬を飲んだわけじゃないのに、貴女…田中さんへ効果を示した。
それは元から素質があったとしか思えないのですが……。

お二人に効果がないことには正直、頭を抱えています。
どちらか一方…可能性的には雲雀くんの薬が効かなかったと考えるより他ありません。
………でなければ、


「………でなければ?」

沈黙した先生に先を促す言葉をかける。
他に、どんな可能性があるというんだ。

先生は私と雲雀恭弥を見比べたあと、やはりニヤリとした黒い笑いを濃くして言った。



「お二人が元より、両想いである可能性があります」



………………


「な!?」


一瞬、反応が遅れた。
それは予想だにしていなかった答えだったからだ。


「……」

雲雀は黙って先生の言葉を聞いている。
不快そうに眉を寄せているところから、心の中ではあり得ないと思っているに違いない。


「も、元から両想い…?」

私は夢を見ているのか。
どう考えてもおかしい。


「あり得ない、だったら私たちはとっくに……」


とっくに、何だ。
付き合ってるとでも言いたいのか?私たちが?
この、自分でも自覚できるほどの意地っ張りが。


「………ちとせ、いこう」

こんなやつと話してても何の利益もない。

彼は飲み終わったカップを少々乱暴に机に置くと、私の手を引っ張って理科準備室を出た。





─────…




そんなことがあった、
3日後のことだった。

彼に、不意討ちキスをかまされたのは。




──────────……



私は一体、誰に頼ればいい



continue…




アップし忘れてた……。
これがないと次に進めないので、割込うpです。


ひとつだけここで告知…。


近藤サン好きだぁぁぁあ!
(声的な意味で)

雲雀さん好きだぁぁぁあ!(性的な意味で)←


ひ、ひばりんの-10が書きてぇー!!



誤字脱字、辛口評価、
お待ちしております。



ありがとうございました!

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あきゅろす。
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