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過去拍手や短編
四月の馬鹿!



雲雀SS




"なに怒ってんの?"




それは、素晴らしく天気のよい日でありました。

私は朝からルンルン気分です。…クフフ、何故って?

春休みなのに雲雀くんに会えるんだもーん!
パイナポーッ!


私は提出し忘れた資料片手に、ローファーの底をコンコンと鳴らした。


…もうすぐ、応接室。


―――――――………


高鳴るドキドキを抑えに抑え、応接室の扉を叩く。

入って、という低音ボイスに導かれ、私は応接室に入ります。


「やぁ、おはよう」

「お、おは、おはようございます!」

いつもどおり、高そうな木製のデスクで万年筆を走らせている雲雀くん。
カッコよすぎです!悩殺!


「こ、これ!すいません、遅くなってしまって…」

私は垂直にも近しいほど腰を折り曲げ、ビシィと提出し忘れたプリントを差し出した。


「うん、ちゃんと提出したからね。見逃してあげる」

雲雀くんは今日、機嫌がよろしい様子。

私から受け取った資料を引き出しにしまい、紅茶いれようかと席を立つ。


「えっ、すいません。ありがとうございます!」

こんなチャンスまたとないと、私は黒革のソファーへ腰を下ろした。



――――――――……


「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます…!」

雲雀くんは私の分と自分の分を2ついれて、私の向かいの席に座った。

あああ、神様ありがとう!
これで雲雀くんを盗み見できます!

あーめん!と私は心の中で叫んで、紅茶をすすった。
次の瞬間まで。



「…君、可愛いよね」


「ぶふぁっ」

紅茶を吹き出した。


「な、は…な、なにを!」

か、かかかかわかわ川!
可愛い!?

神様、雲雀くんがおかしい!(こんな事いう人だっけ)


「君、なかなか賢いらしいし。」

「え、えぇと…っ」

はわゎっ雲雀くんが何か言ってます!
勉強今まで頑張っててよかった!


私は赤くなる頬を押さえて、ティーカップで顔を隠す。
な、なんていい日なんでしょう!
私はこの日を忘れない!



「僕、君が好きだよ…」


「は…………、」


えぇぇぇえええッッ!!!

ななな◇※△§◎〜…


ど、どうしたらいいんですか委員長!!

まさか両思いだとはつゆ知らず………


「わ、私も好きで……」

「なんて、冗談だけど」


……………す、?


「は、はい…?」

「今日はエイプリルフールだもんね」

「……………!!」


はぃ!?え、なにこれ!
サブイ!サブイ!

なにそれ!は?

いやそういえば今日はエイプリルフールだけど…!


「…そんな……、」

そんな事ってアリかーっ!


「騙されたね」

雲雀くんはクスクス笑う。

紅茶を飲み干すその姿も、ああカッコイイのに……。


今は何より腹立たしい!


「そ、そんなの…知ってました!」

私も負けじと言い返して、でもやっぱりちょっと凹んだ。


「…なに怒ってんの?」


「怒ってませんっ」


「うそ。怒ってるよ」


「〜〜〜〜っ!!」

あなたに告白されたのが嬉しかったのに、次の瞬間にはエイプリルフールの一言で私の心はブレイクンハートです!

なんて腹立つから言ってやんない!

こんなひとだなんて思わなかった!


熱かったけど無理矢理に紅茶を飲み干して、ご馳走様でしたと部屋から走り去る。


――――――――……


……うわーん!
泣いていいですか私!


――――――――……


「あぁ行っちゃった…」

あの子、エイプリルフールの役割しらないのかな。

エイプリルフールは午前中に相手を騙して、午後からネタばらしなんだけど。




……君が好きだよ、はエイプリルフールで嘘。


――っていうのが嘘だったんだけどな。


僕って計画がいまいち甘いんだろうか。



本当は誰より君を、
見ているのに。

―――――――――……

彼女がそれを知るのは、
ランチのデザートを食べる頃。

――――――――………

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あきゅろす。
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