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自由配布跡地
君は今年で何才だ。



すかいらーくのお誕生日





たとえばバック。
たとえばアクセサリー。
…たとえば、トンファー?


朝から晩まで。
ゴールデンウィーク。
考えすぎで知恵熱?

さてさて、迫っておりますあの人のあの日。

…雲雀恭弥の誕生日。


私は一体、ちょっとおバカなので、まったく、いい贈り物が思い浮かびません。


…プレゼント。


細かく条件を付けるなれば、
相手に気を遣わせないほどの値段で、
かつ誰も思い付かないような物がナイスなんですがね。


………予定日まで、
あと2日と迫ります。


何か欲しいものある?
とは聞けません。

何故なら去年、同じ質問をして「そりゃ君でしょ」なんてベタな回答を頂き、まさかのまさか。
本当に美味しく頂かれたなんてまたベタな!

あんな恐怖は二度といりません。
なぜあの人はその時だけSになるんでしょうか。
えぇいや、サイズ的にはLLいってましたけど。

まぁ、そんな品の無い話はどーでもよーござんしてね、いやはや、プレゼント!

なーんにもこれっきし。
思い浮かびません。


「骸ん〜……」

「どうしました?(え、何ですかムクロンって?)」

「恭弥に何あげたらいいの〜…?」


私は強行手段、「同性の子に聞く」を発動いたしました。

落ち着いた、まさしく骸んがそのまま店になったような地下のジャズ喫茶にて。


「さぁ…よく分かりませんが、雲雀恭弥にプレゼントなんてやめて、僕と南国に行きませんか?」

「骸んの発言の方がよく分かりませんけど。」

ていうか君自体が南国じゃないのかい。


「…つれませんねぇ」

骸んは困ったような残念なような複雑な表情をしました。

お前の「つれませんねぇ」は「釣れませんねぇ」の方だろう。
思いましたが、言いませんでした。


………予定日まで、
あと一日、明日に迫ります。


かの偉大なるアインシュタインもこう言っております。

「99%の努力を強調するが、それは1%の閃きがなければ不完全に過ぎない。」

…つまりどれだけ考えても、これだァ!っつーモンがないと意味ナイって事です。そうなるです。


頭ショートしそうです。
マンガの主人公ならば頭から火花が散っている所でございます。


「…骸ん、買い物付き合ってくれる?」

「いいですが、ムクロンっていい加減やめませんか」

「…骸んって、骸ん以外の名前あるの?」


「貴女じゃなかったら刺してるところです。」


今日はいかにもショッピング日和!日和でございます!さぁとにかく部屋でジトーッとしてるワケにもいきません。

買い物に出掛ければなにかイイモノに出会えるやもしれませんからね。
骸んとお出掛けです。


「あ、これなんかどうですか?」

骸んが差したのは、ミカン型の容器に入った指で塗る式のリップクリーム。
オレンジの匂い付き!

で、でも。
あわゎ。恭弥が指でリップクリーム塗るとか……!
な、なんかエロくないっすか……。

「ちょ、それはダメだ」

「えー、いいじゃないですかもう…。」

「だめ!バカムク!そんな事で諦めるようなやつに、私は絶対オチないぞ!」

「そ…そうなんですか?」

「おぅよ!男は心意気だィてやんでィ!」

「…なんかよく分かりませんが。(…僕ほんとに、こんな頭の弱い子好きでいいんですかね)」



日は暮れていきます。
私たちはショッピングモールを2・3個渡り歩いて、恭弥へのプレゼントを探しました。捜しました。

…英語で言うとLook for〜です。あ、関係ないか。


帰ったのは確か…、夜中の12時過ぎでしょうか。
門限は8時ですのに、まぁこれも恭弥への愛ゆえですかね、クフフ。
(あれ私だれだっけ。)




………予定日、です。
今日が恭弥のバースディ!

はわゎ恭弥、気に入ってくれるでしょうか。
極限状態汗だくブルブル。

ヤバイです、どうしましょうかねパイナポー。
(あれれ私は誰だっけ。)


応接室で恭弥を待って、
プレゼントをソファーと机の間に隠して。

さぁいつでもこんかい!
準備万端だぞコラァ!
(あらら私は女の子?)


…ガチャ。

うわっ、きた!早っ!
何でこんな早くに!?
私、まだ心の準備が…!

本日のメイン、雲雀恭弥くんのごとーじょーです!

えぇ、えぇ。
プレゼントは準備万端なんですがね、どうにもこうにも。心の準備は100年経っても万端にはならなさそうです。


「………。」


恭弥は、ものっそい不機嫌丸出しでデスクにつきました。

…え、なんで?
なんで?

なんで恭弥……、

私を睨むんですか?


「きょ、恭弥?」

「……」

うっわ、すっごい不機嫌!
なんで!わ、私、なんかした?
オーラやばい!なんかお化け屋敷の雰囲気に似てる。


「どしたの恭弥…」

今日は主役の恭弥が、どうして不機嫌なんだろう。
私は急に不安になり、彼に近づいてみる。


…途端。
グイッと腕を引かれ、

彼のデスクに押し倒された。
…正直、背中痛い。

ふつう押し倒されたっていったら、別にロマンチックではないけど、ちょっとドキッとするよね。

………。

でも、私はゾクッとした。


首に当たった金属の冷たさ。と・ん・ふぁー?

…あったった、ではなく押さえつけられた、といった方が正しい。
息がしにくい苦しい。

「ごほごほっ、何して…」

「…君、なにか言うことあるんじゃないの」

彼は冷やかな目で私を見降ろした。

「…は?、コホッ苦し…っ」

「とぼけないで。…昨日、何してたの。」

「なに?なにって…、」

…ショッピング。?

え、待て待て恭弥くん?

「ちょっと、なんか誤解して…」

私が言い終わる前に、彼はトンファーへかける力をより強める。…おかげで声が掠れて大事なことまで言えなくなった。


…彼は少々眉を寄せたかと思ったけど、また冷静な顔に戻った。

「…ねぇ」


「…っ」


「君は何してたの。」

言いながら恭弥は目を逸らす。……もしかしたら、私の返事を怖がってるのかもしれない。
(なんて自惚れもいいとこだ。)

彼は、私が骸んと会っていたのを見たのだろうか。

きっと、僕の彼女は僕の誕生日前日に何をしてるんだ、と思ったに違いない。

「ごめん、コホ。恭弥の、プレゼント、買ってて…」

「…(プレゼント…?)」

「恭弥に気に入ってもらいたくて…、だって骸んくらいしか頼れなくて…」

「……(何、ムクロンって)」

恭弥は怪しそうに目を吊り上げる。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになって、「恭弥だけだよ」と泣きながら言った。
実際には泣きたくなんてなかったけれど、彼が緩めてくれた鈍器のおかげで酸素が急激に肺を襲い、生理的に涙が出たのだ。

いやいや、もう全体的に全てがズレてる。
恭弥のために誕生日プレゼント買って、なのにそれで恭弥自身を怒らせるなんてさ。
彼女失格…、なんて言葉、自分には使いたくなかったけれど。


「だって恭弥に喜んで欲しかったんだぁぁ〜っ」

うわーん。って。
もう離そうとするトンファーを意味もなく掴んで、自分の首にあてたまま。
目の奥と鼻の奥と喉の奥がイタイ。涙腺が切れそう。

ごめんねごめんね。
いっぱいいっぱい謝ったあと、彼はこう言った。


「……プレゼントって何?ごめんって、何が?」


「………へ?」


――――――――……


「はぁ…」

私、すっごい勘違い。

……ケータイに残った、着信履歴の数。
「電話でなよ」「何かあったわけ?」「今どこ」「ちょっと、心配してあげてるんだけど」……、。

私は私で、誕生日を覚えていない彼に、必死で骸んとのショッピングの言い訳をしていたわけだ。


ああーもう!
ばかばかばかっ!

って頭をポカポカやろうとしたら、作った拳が、後ろから抱きすくめる恭弥に止められた。

「そんなに頭ポカポカしないの。余計バカになるよ」

「うぅー」


なんて唸ってみせる。
彼はソファーに座ってるのに、私は彼の腕の中。
おなか辺りに回された腕が恥ずかしい。


「…プレゼント、ありがとう」

「…ん。私も、電話でれなくてごめんね。」

「いいよ、嬉しい。」


恭弥にしてはすごく素直に、私からのプレゼントを受け取ってくれた。
いつも吊り上がった切れ長の瞳が、ふわって優しくなる瞬間が私は大好き。


「…でも、だからって六道と何処かに行ったりしないでよね」

「気を付けまーすっ!」

「…。(六道はまた、輪廻でも廻ってる頃だけど)」



―――――――――……



君からのプレゼントは、
たった300円の最高の愛!




え・ん・ど!

フリー配布、
By「英国紳士につき腹黒」より。
…300円ってのは、絆創膏とか、そういうのだという設定でした。


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