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献上品とかお宝とか
◆風雲さまへ!




「Withヒバード」




"ごめんよハニー"




「ねね、ヒバードっ!歌うたってよ!」


「ピピ、ちとせ!ウタウ、ウタウ!」



……。

一体全体、どうしたっていうんだ。


「ミードリタナービクー、ナミモリノー!」


音程はずれの校歌(頭にくる!)が、耳障りに僕の耳に届いた。


「かわいいっ」


彼女…、あぁ、僕の彼女は、その忌々しい鳥に向かって盛大な拍手を送る。
見ているだけでイライラするよ、忌々しい。


「ヒバード、次は昔話の朗読でもやろうか!」

ちとせはその鬱陶しい鳥に話し掛けた。

…それは、幸か不幸か。

やはり、僕に(勝手に)懐いただけあって、賢いのだ。

大抵の、人間の言葉を理解してしまう。


「ムカシ、ムカシ!」



つまりはこの鳥類一匹で、いわば暇なく会話できるというわけで。


「桃太郎にしようか!」

彼女は楽しげに、僕の横で暇を潰しているのだ。


「オジーサンガ、ドンブラコッコト、ナガレテキマシタ!」

「あははっ、おじぃさんが川から来ちゃってるよっ」


いや何で、僕がこんな小動物ごときに負けなきゃいけないのって、思うよそりゃね。でも、


「オバーサンヲ、ホウチョウデ、キッテミマシタ!」

「きゃあっ、それじゃ火サスだよ!おばぁさん切っちゃだめ!」


……仕方ないんだ。
僕の前には、膨大な資料の山があるんだから。
(畜生、ちとせも草壁も偏差値が可愛すぎるんだよ!任せられやしない。)


「ちとせ、僕は資料整理があるから、ヒバードとでも遊んでてよ」


「えっ…、う、うん…」

「ちとせ、アソブ!」


………、なんて。

言っちゃったあとだもの。


………、なんて。

なんて僕は馬鹿なんだ…。



「ちとせ、スキ、スキ!」

だから仕方ない。
この忌々しい鳥が僕のちとせに愛を囁こうと、
決してそれは僕の役目なのになどと思ってはいけない。


「きゃっ、私は愛してるよ!ヒバード!」


だ、だから仕方ないんだ。
だから彼女か、忌々しい何処の馬の骨かもわからない鳥に、愛してるなんて軽々しく言っても、
決してそれが、僕に言ってほしいのになどと思ってはいけない、んだ。


「ちとせ、チュー!」

「えっ、チュー?ひ、ヒバードったら、積極的なんだからっ!」


し、仕方な、く…、


…仕方なくなくない?

なに、何で、僕が。
こんな黄色い毛玉なんかに負けなきゃいけないのさ。
そもそも、勝ち負けなんかないんじゃない。
イライラする。
僕のちとせと会話させることすら嫌だ。


「ちとせ、ナカヨシ、ナカヨシ!」

「仲良しだねー!」


仲良し?
訳分かんない。
咬み殺すよ。
むしろ羽むしってやろうか毛玉野郎。


ぐるぐると回る罵声の数々に悶々としながら、資料を片付けていく。

ああもうこんなにイライラしながらも、早く終わらせてちとせにふれたい一心で頑張る僕ってかなり健気なんじゃないの。

…いや、決して下心はない。


僕は最後のプリントに手を伸ばした。…



「じゃ、じゃあ一回だけならチューしてあげる!」

「ヤッタヤッタ!」

僕はプリントを眺めながら、二人(…)の会話に気が気ではなかった。

ちょっと、やりすぎじゃないの。
いくらちとせだからってさ。毛玉にチューを許していいわけ。
(ぼ、僕ですらちとせからチューしてもらったことなんてないのに…!)


「あっ、や…動かないでよぉ!」

「ちとせ、カワイイ、カワイイ!」


オイオイ言い過ぎでしょ毛玉野郎。
いつそんな言葉おぼえたんだ。
(僕だってまだちとせにカワイイなんて言えた事ないのに!)


僕はもう何が何だか。
よく分からなくなってきて、とりあえず席を立った。


「ちとせ、ちとせ、アイシテ、むぎゃっ」

まずは。
この忌々しい鳥の削除からだな。と僕は、少々乱暴に胴体を掴んで、

「ああっ、ヒバード!」


そのまま窓の外に放り投げた。
戻ってこようとする鳥に構わず、ピシャリとガラスを閉める。(ああ、力加減がどうにも…、ガラスにヒビが入ってしまったけれど)

ご丁寧に鍵まで締めた。
(だってあのズル賢い毛玉が、いつ僕らの邪魔をするかわからない。)


「ひ、ヒバード…、」

まだ何か未練があるのか、彼女はあぁだのうゎだの、ブツブツと繰り返す。


僕はそんな鈍いちとせに、いつものごとく怒ったような眼差しを向けた。
したくなくても、自然と不機嫌が顔にでるんだからしょうがない。


「ど、どうしたの…?」

僕の怒りの矛先を理解したのか、控えめに尋ねるちとせ。
あぁそう、僕は怒ってる。
もちろん君にだよ。

(ああ全く、群れてる輩を鎮圧するときすら、怒ったりしないのに。)


「どうしたのって、分からない?」

「あ、…えと、」


しどろもどろで答える。
僕はこれ以上僕をイラつかせるようなら強行手段にでようと彼女に近づいた。


「ひ、ヒバードと遊んでたから…?で、でもだって」

恭弥が言ったんだよ?
僕は忙しいからヒバードとでも遊んでろって。


理屈。
まさか遊んでろとは言ったけど、チューしろなんて言ってない。
ついでにあの毛玉にも、ちとせを口説いたりしていいなんて言ってない。


「僕はね、」

ちとせのこと、可愛いと思うよ。
そりゃ君からチューしてくれたら嬉しいし、…うん、それ以上だって…、。

なんて言えたらいっそどんなに楽か。


「ぼ、僕はね、」

くそ、言ってしまいたい。有言実行してやりたい。

でも、でも君が、

「だって、私だって、恭弥と遊びたいけど…忙しいんでしょ?」

なんて言うから。


「……、怒った」


「へっ、…わっ!」

もうだめだ、さっきから張っていた緊張と理性の糸が、プツンと軽く切れた。


「きょ、恭弥!ま、まって!」

「……、」

「ひゃっ、…ちょっ、」

もうもう、君の声すら聞こえない有様で。
…コツコツ、と窓が叩かれる音がして、ああ毛玉野郎かと理解する。

…最高じゃないか、さっきまで僕を怒らせていた野郎の前で君を横取りするなんて。



僕は、応接室に動物を入れるのを、固く禁じようと思った。
(…まぁそのあとですぐに、沢田とかいう草食動物たちが来たんだけどね)



―――――――――――……

それから君には、さびしい思いをさせないように。




continue…

はい、風雲さま6969キリ番リクエストの「Withヒバード夢」でした!

な、なんかもうグダグダで…、申し訳ないです。

こんなものでよければ、どうぞお受け取りくださいませ!
リクエストありがとうございました!

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あきゅろす。
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