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お恥ずかしながら。
コップス&クルックス
雲雀受け+10
白蘭様の部下に捕まってしまいました。









それは極上のスイートルームだった。
女が一人、そして、縛られた男が一人。

熱い吐息が口から漏れてしまわないようにと、彼は唇を噛み締めていた。
…いや、違う。
吐息と一緒に出てしまいそうな、「やめて」という単語を言うまいとしていたのだ。

…私は、さして気にも止めていないのだが。
待つことには慣れているのだ。元々サディストでもないので、この状況に興奮もしない。淡々と、相手の男が…雲雀恭弥が、アジトの場所を吐いてくれるのを待つだけ。


「どう?そろそろ吐く気になった?」

「……」

何も喋らない。
さすがはボンゴレ雲の守護者。伊達に上層部をやっているわけではないようだ。

…思えば、ここにくるまでの道のりも、簡単ではなかった。
あの雲雀恭弥を捕まえたまではよかったのだが、いかんせん拷問に掛けても何も吐こうとしない。拷問の意図を知っているのか、喋れば殺されるし喋らなければ殺されないと分かっていたらしい。
頭で分かっていても実行出来ない人間が多い中で、彼はレベル1の拷問を突破したということになる。


「強いのね、貴方」

飴と鞭は巧く使い分けねばじゃじゃ馬は手懐けられない。しかし飴だって、時に鞭となり得るだろう。
吐かぬなら吐かせてみせよう雲雀恭弥。
……別段、秀吉が好きなわけではないけれど。


手に持ったスイッチを、一段階あげてみる。
先ほどまで何も反応しなかった彼が、軽く眉を潜めた。漏らすまいとしていた息が微かに唇の隙間を縫って漏れる。

「…へぇ、」

前々からその年頃の男性にしては落ち着いて話す男だと思っていたが、どうやら、完璧な彼もある一面は…完璧ではないらしい。
私は口角が上がるのを感じた。
快楽に弱い孤高の浮雲か。


「ねぇ、貴方、ソコだけで足りる?」

昔ムリをして履いた先の尖った赤いハイヒール。
泣きそうに痛かったのを覚えているけれど、今はそれが役に立っているのだからいいわ。

私の趣味じゃないけれど、指示されて付けたコックリングで赤く昂ぶったソレを軽くハイヒールで突いてやる。
見たくもないのか、さっきまで強かった眼力が伏せられた。


「楽しいわ、貴方みたいな人と一晩中遊べるなんて」

「っ…」

「アジトの場所を吐くまでじっくりお付き合いしてあげましょうね」


本当に、反吐が出るほど優しい言葉だと私も思う。
しかし、そうして優しく責めるということが、この男には必要なのだ。

バイブレータ付きコックリングは、彼のカタチに合わせて睾丸を刺激するように作ってある。
しかし、何か、今一つ決定打に欠ける。もっとヨガらせて泣き出して、アジトの場所からドン・ボンゴレの秘密まで喋ってしまいそうなほどに……。
私は、困ったら開けるようにと白蘭さんに言われていた「よじげんばっく」を漁ってみる。


「…これはどう?」

「…?」

じわりと汗の滲みだした彼の前にそれを差し出す。
決して私の趣味じゃない、白蘭さんが好みの男の子とニャンニャンするために開発した男性用催淫剤。
試験管みたいなのに3本、コルクで塞いである。


「おクチ開けてくれる?」

「……」

「……ふうん」

あくまでも強気なようだ。
仕方がないので開けてしまった薬を、未だ苦しそうにするペニスに掛けてやる。


「…っふ、」

「あら」

「んん…」


よほど嫌らしい。
拘束されてほとんど身動きがとれないのに、身体を捩りはじめる。微かながら頬が上気してきた。


「やっぱりこれくらいしないと、興奮しないわよね」

「っ…ん」

「でもまだ足りないんでしょ?」

二本目を開けて、半分ほど自分の口に含む。思った以上にぐったりと汗ばんでいた顎を持ち上げて、軽く口付けた。

「っ!」

無理に顔を背けられて、口の端から薄桃色の液体が伝う。


「…まさか」

…恥ずかしがっている?
裸に剥かれても無表情だったのに、まさかこんなことで?あのボンゴレの守護者が。
快楽に弱いのは、慣れているからじゃない。
…慣れていないからだ。
それを無理やり薬で慣らしているから。

今度は外されないように両手でがっちり顔を固定して、舌で彼の唇を割ってやる。バニラのような彼の匂いは、咥内の苦甘い味に掻き消された。抵抗する気力も残っていないのか、大人しく飲み込んだ。


「ぅ…、っは」

「ん、フフ…きっとすぐ効いてくれるわ」

「ぁ……」


まじまじと唇を離して見ると、なるほど美形揃いのボンゴレ。紅く半開きになって誘う唇にもう一度口付ければ、眉を寄せて恥じらう。

「んん…っ」

第一の拷問をクリアした彼は一応の応急措置を受けてこちらに運ばれるが、やはり体力がついてこないらしい。私の舌を噛み切ろうともせずに、受け入れたままだ。

優しく微笑んで、下にあるペニスの先に触れる。
不意討ちに驚いたのか、ビクリと肩が揺れた。
先ほどの薬のおかげで滑りがいい。先端を軽く擦るだけで、気持ちよさそうな喘ぎが漏れる。


「ぁ…っ、ぅ…く、」

「随分とお喋りになったわね」

このお薬のお陰かしら。
そういうと悔しそうに私を睨む。こういう自尊心の塊みたいな人間こそ、吐かせやすいものである。
すばやく攻めたのでは意味がない。じわりじわりと焦らしながら、つまり誰が一番であるかを教え込むのだ。

「…殿方ってどういうことが嬉しいのかしら」

私は前開きになっている自分のドレスに手を掛けながら、視線を彼自身に落とす。
首を低くして、まじまじと眺めながらソレに触れる。

「…熱いのね…」

「っく、…」

ジッパーを下げてドレスをはだけさせる。下着など、もとより付けていない。
胸が外気に触れて楽になると、ぴくりぴくりと彼のペニスが脈打つ。


「もしかして見るの、初めて?」

「…っ」

視線が胸に向いてしまうのか、しきりに目が泳いでいる。見られるうちにこちらまで、胸の奧がキュンとしてきてしまった。
手にソレを持ったまま、舌を出してそっと先端を舐めてみる。しょっぱい。薬に混じって分からなかった、どうやら先走りが垂れているようなのである。


「ひ、…っん、ゃ」

「どう?もうそろそろ出したくなってきたんじゃない?」

カリの部分を包む皮膚を引っ張れば、いやいやと首を振る。だが嫌そうではない。その中に舌を差し入れると、彼も彼自身もびくりと震える。


「あっ、ぁあ…っん」

「貴方が吐いてくれたら、この後でもっと楽しめるのに…」

縄も解いてあげるし、私のことも好きにしていいわ。
なにせ、刑が執行されるのはその後だから。
さいごの一文は言わないでおいて、吐いてしまえばこの屈辱を返せるだけのことを出来ると教えてやる。

でも彼は黙ったまま。
喘ぎは洩れているものの、やはり決定的に足りないようだ。

もしかして彼は、この状況を楽しんでいるのでは?
前にも同じようなのがいた。マゾヒストという部類の人種が。彼の打開策はなんだったか……。

私は、目の前で縛られて責め苦を受けている哀れな男をみた。
そうだ、かの奴を吐かせたときも、こうやって…。
私は白蘭さんのバッグをもう一度見て、不適に笑った──…






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あきゅろす。
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