お恥ずかしながら。
淫魔Ver.受A
生徒達が勤勉に励むなか、応接室で行われる甘い秘め事。
こんな、はずじゃなかった…。
あんな近寄りがたい雲雀さんに自分から近づくだなんて恐ろしいこと、するはずじゃなかったし、あみだクジで決まらなければこの応接室にだって近寄らない。
しかも自分のハジメテが、不良の頂点?
やだやだ、今まで地味に真面目に生きてきた私の人生はどうなるっ?
「いっ、あ、あぁん…!」
もう舐められていないところなんてないんじゃないかって……、足の指先から内腿から腕も指の間も。
うつ伏せにされて背中を舐められる間は、ずっと胸の先を嫌というほど弄られて、それだけで何度か軽い浮遊感を感じた。
唾液に濡れたところは彼の言った通り、ツルリと指が滑るだけでビクビクしてしまって。
これが、私…?
こんな、誰彼構わず媚びたような声を出しているのが?
考えたくもない。
考えたくもない。
…でも、もう逆らうことは叶わない気がした。
「直接して欲しい?」
「や、だ…っあ、はぅうっん…ッふ、」
「……やだ?この期に及んで、まだそんなことを言うの?」
「こ、なの…っ、おかしっふ、にぁああッ!」
私の言葉が気に入らなかったのか、内腿をギリッと摘まれた。
本当は痛いはずで、唾液の気化熱で冷たくなるはずの身体は、逆にまわりの熱を集めてるんじゃないかってほど熱くて、気持ちいい。
いやなはず、なのに。
「焦らしてるつもりが、逆に僕が焦らされてるみたいだよ……」
「そ、な…ッ!ひぁうっ、ん、ンンっ!」
力の入らない膝を彼の身体で無理に押し開かれる。
すぅっ、と、普段は絶対に風なんて当たらない場所に風が当たった。
いや、風じゃない。
ため息、というか。熱い。
「ま、さか……っ」
「さっき言ったはずだよ」
感じすぎて仕方ない身体にしてあげる…って。
べろり。
言われて次の瞬間。
やめて、なんて制止を掛ける信号すらまだ伝わっていなかったのに。
舐められた!そんなとこ!
ぞわっと背中に直接的な刺激がきたと思ったら、
じゅるるるるっ、だなんて嫌な音がした。
「いやっ、いやぁあっ!」
「ン、…っはぁ、」
「ひ、きゃあっ、あっふぁあっ!んぁあ…ッ」
「甘い…、」
「…っ、ッ!」
悔しくて恥ずかしくて、涙が出た。
なんだって名前くらいしか知らない男の人に、いきなりアンナトコを舐められなきゃいけないんだ。
抵抗できない代わりにキッと彼を睨み付けると、獰猛な瞳が私を捉える。
この目と見つめあってしまうと、頭がぼうっとしてしまうのだ。
太ももに触れた雲雀さんの柔らかい黒髪が擽ったい。
意識が朦朧として目を逸らすと、触ってくださいと言わんばかりに主張する、テラテラと唾液で光る乳首が視界に入った。
どこ見たって最悪…!
「集中してよ」
「ふぎゃっ…あぁッ!?」
舐められて敏感になりすぎたそこを、今度は指で掻き乱す。
突起もナカも全て。
自分ですら未開のそこを、暴かれた。
「ふ、ぅ…っんはぁあっ」
「っ、…またイった?」
「ひゃッ!らめ…ぇ」
「誘ってるの、もしかして?」
「ひが…っひがいまっ」
「…煩いお口は塞ごうか」
私の蜜で濡れた口元を舐めながら、彼も情欲を孕んだ瞳を彷徨わせる。
ピタ、と頬に添えられた左手は、行為を始めたときより格段に熱かった。
「ちとせ…」
「……っ」
慌てて、力の入らない手で彼の手を払う。
やめて、触らないで。
倒錯しかけた感覚。
まるで、雲雀さんの……
大切な人にでも、なれたみたいな。
強姦が、和姦みたいで。
…手を払われたときの彼の普段は滅多に見ない驚いた顔と、泣きそうな眉の寄り方に、錯覚しそうになる。
「も…、はやく…っ!早くして、ぇ!」
「………、」
「お願い…します、ぅ…、挿れてくださいぃ…ッ!」
「わ、かった……」
だから、私は。
彼を、雲雀さんを、あの怖くて近寄れなくて、なのにこんなときに限ってそんな切なそうな表情をする彼を。
もう二度とこんなことは無いからと。分かっていて、彼を求めた。
雲雀さんがベルトを緩める。
私の、初めての人。
「ンぁあ…ッ!」
…その挿入は思ってた以上に気持ちがよくて、痛みもあまりなくて、思ってた以上に、…優しかった。
あの彼は、鬼の風紀委員長の彼は、こんなにも優しい人だったの?
私が、みんなが間違っていたの、ねぇ…?
「っく、ぁ…」
彼はまた切なげに口を歪ませる。でもさっきの泣きそうな表情とは違って、今度は好色に滲んだ声。
そう、そうだ。
こんなものはただの…。
「は…、んん…っ」
「ひゃ、はぁあっン!ふぅっイっちゃぁ…ッ!」
唾液で敏感にされた肌を彼の熱い指が這い、胸の突起をつまみ上げる。
繋がった場所はヌルヌルでベタベタで、ゾクゾクして意識が飛びそうになる。
「ちとせ…、っん!」
「気持ちい…、気持ちイイですっ雲雀さ…っん」
「…ッ、あ、ちとせ…っ」
がくんがくんと身体が揺れて、雲雀さんは苦し気に息を漏らして、私は──、
「ぃ…っ、ひ、ぁああァあアッ!」
「ん、ぁう…っ」
浮遊感が頭を襲って、それは、一向に消えないまま夢へと溶けていった。
─────…
「ただの性欲処理…だったのに、」
彼のその言葉を聞かないまま、私は気付くと、自宅のベッドへ寝ていた。
夢、かと思った。
だって腰の痛みは見事になかったし、次の日には雲雀さんに会っても何もなかったし。
朝の持ち物検査で「髪をくくれ」と言われただけで。
たぶん、夢。
そう。
ただひとつ…変わったことといえば、
私の携帯には、登録したはずのない未知の電話番号が登録されていたという事。
名前は「H」。
誰なのか何なのか、
私にはまだ分からない。
でも気が向いたら──、
かけてみるつもり。
もしかしたらそれは、
私のこの気持ちの穴を、
埋めてくれる人かも知れないから。
──────────……
次は、もっと大切にする…
continue…
だぁぁん?
なんだこりゃ。
なにこの三流映画のラストみたいなおわり方。
申し訳ありません。
前回に引き続き、字数制限で閲覧できないとのご報告頂きましたので、2つに分けさせて頂きました。
誤字脱字、辛口評価、
お待ちしております。
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