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年下やら年上やら
隣のおチビさん







"モテモテお隣さん?"





「―ヒバリさん…?」



良い天気。快晴。
絶好の行楽日和じゃないか。

…こーゆー日は大抵、バカな奴らが群れたがる。
そしてこーゆー日は大抵、そのバカな奴らを鎮圧する百獣の王がいるものだ。

というわけで僕がその王にとって代わるべく、肌寒くなった街を学ラン背負って歩いているわけなのだが。


「…笹川京子?」

バカみたいにフリフリのワンピースを着ている、僕の学校の女子生徒。
街中で偶然にお見かけしたのは並盛中在校の笹川京子(15)ではないだろうか。

…今日は休日。


「はひ?京子ちゃんのお知り合いの方ですかぁ?」

隣にはややつり目の黒髪の少女。笹川京子よりはマシだがこの子もフリフリのスカートを穿いていた。


「うん、私の学校の風紀委員長さんだよ!」

「はひー!すごいです!」

「…」

─紹介されて別に嫌な気分ではないけれど、極力そういう馴れ合い的なものはよしてほしいと雲雀くんは思った。─

「こんなところで何してるんですか?」

笹川京子がまたまた馴れ合いチックな会話を求めてくる。…別段、何をしていたというわけではない。(しいていうなら群れる輩を退治するため…だろうか)


「そっちこそ、何してるの。」

まさか群れてるんじゃないだろうね。二人でもごちゃごちゃ騒ぐなら群れてるのと同罪だからね?

雲雀くんは少し怒気を孕ませた口調で二人を睨む。

黒髪の少女(…笹川いわく三浦ハルというらしい)が「デストロイですーっ」と騒ぐ中、彼女だけは冷静だった。
いや言うなれば彼の怒りに気付いていないだけかもしれないけど。


「ドングリ拾いに来たんです!」

「………ドングリ…」

とは、本来中学生の夢中になるものだったか。
…だとするならば今のは聞き違い?
ドングリではなく空き缶だったかもしれない。
(感心感心。)


─しかし雲雀くんにはンな事関係ありゃしません。

ソウデスカ!ヨカッタネと立ち去ろうとしました。


「あ、雲雀さん!もう少しお喋りしませんか?」

「いや、僕はもう…」

「はひっ!あんなところに特大ドングリが!!」

「……」


…そこでまた、雲雀くんは厄介な女子たちの会話に巻き込まれていくのでありました…―。



─────…


同日同時刻。同場所。


「よーし、いくぞロッキー!」

─槇原少年の発射したUFO(フリスビー)が、大きく弧を描いて飛んでいく。

真下には待ってましたというように黒くて艶のいいラブラドール(ロッキー)がおり、犬はジャンプしてそのUFOを捕った。


「成功率90%!」

おどろきにちとせさんは目をキラキラさる。
ハイ、ここで槇原氏はメロメロ。


「もう完全にマスターしたね、フリスビーキャッチ」

喜び勇んで帰ってきたロッキーを撫でながら、槇原くんに笑い掛けー。

「田中もやってみる?」

彼はちとせちゃんの笑顔に多少照れながら、フリスビーを差し出す。


「うん、ありがとう…!」

しかし田中さん。
お嬢ちゃん、キミ、この前ドッジボールで転ぶほど…

「あっ、木に…!」

そう、運動音痴じゃなかったか。

フリスビーは犬の頭上を尚も大きく通りすぎ、楠の木の葉っぱに引っ掛かってしまった。

「どうしよ、ごめん…」

「あはは!いいよ、田中はほんとコントロール悪いなぁ」

そう言いながらも内心デレデレの槇原。
だって男の僕より女の子が上手なんて、男の面子が立たないじゃないか。


「大丈夫、取れるよ。」

そう、ここは優しくデキる男だって事を──。


「あ、お兄ちゃ…」

証明──…させてあげて?
いやこの声が彼女に聞こえないのは百も承知ですが。

とれたフリスビーを抱えて、呆然とちとせちゃんの視線の先を見ると。


「……」

ふわふわふわ〜…
ピンクやら?水色やら?
レースやらリボンやらお花やら。
可愛い女の子たち(なんてったって一人は並中のアイドルだ)に囲まれた、どう考えてもないだろうという真っ黒々助。

───…真っ黒々助?

「(あ)」

「あれって隣の……」

ピン、ときたのはこの間、憎らしくもボクの(重要)ちとせちゃんをかっ攫っていった…………
えーと、
アヒルじゃなかったか。


「へえ…意外とモテるんだね、あの人。」

女の子にはさまれて両手に花じゃん。

ここから見ると雲雀くんの表情がよく見えない。
だから、なんとなく両側の女の子たちが笑顔で、楽しそうな雰囲気に見えるのだね。

思ったままを口にする。
…ああ、うん。
そのとき田中さんが見せた表情を見ていたなら、この後に起こる惨劇を招かずにすんだのに。


「……お、兄ちゃ……」

あ…あれ?
まだ夕方じゃないのに、急に日が暮れたみたいな気がする………。

田中お嬢様、好きという感情は知っていても、切ないという気持ちは知らないんです。

「…私、そろそろ帰るね…今日はありがとう、槇原くん……」

「え…」


肩を落として帰っていく女の子を見送る槇原くん。
好きという感情は知っていても、気持ちを察することが出来ない年頃なんです。



─────…



「はひー!ザルいっぱいにドングリが取れましたぁー!」

「……そ、よかったね…」

そのころにはもうゲッソリな雲雀くん。
どこどこのケーキが美味しいだとか、あそこの服が安いだとか、そーいった男の子の雲雀くんには全く縁も所縁もないような話ばかり。

ついには咬み殺す気力さえ萎えに萎えてしまって、今日は回復の見込みがない。


ようやくチグハグなドングリ拾いがおわり、雲雀くんは鎮静出来なかった草食動物に想いを馳せながら、帰宅したのでありました。



─────…



「ごちそーさま…」

「あら、もういいの?」

「うん…」

「今夜は元気無いね。友達とケンカでもした?」

「んにゃ…なんか、あんまりおなか空いてなくて…」


───ま、単なる勘違いでヘコんでるだけなんだが。


───でも、



「おはよう、ちとせちゃん!」

「おはようございます」

ババサマ朝からテンションはクライマックスを決めてます。アヒルの描かれた赤いエプロンなんかしちゃって。

ついでに出てきたのはお隣の雲雀くん。
彼は昨日のことがあまりに重くのしかかっていたものだから、今日はいつもより遅いのだ。


「!……、」

挨拶、しようかなぁ。

思ったけど、両手に花だった雲雀くんに挨拶だなんて気が引けて。


「…いってきまーす……」

ババサマにだけ、小さく挨拶をしたのでした。


「?(なんだろ…胸騒ぎがするような、)」



──────────……



6年生は6年生なりに、
ヘコむのだね。





continue…



支離滅裂な駄文、お許しください。


誤字脱字、辛口評価、
お待ちしております。






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