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風紀委員長様!(完)
思い通り







「ちとせ、ちょっと買い物してきて」

「やだっ」

「咬み殺すよ?」


――――――――……


丁度、お昼休みも終わりかけの頃。

密かに愛用していた万年筆のインクが切れてしまって、どうにも書類への記入が出来なくなってしまった。

外は寒いし、他の風紀委員は校内の見回りで不在。


仕方なく、応接室で一緒にポカポカしていたちとせにお使いを頼んだら、


「行きたく、ない。」

案の定断られた。


ソファーに座って、雑誌を読むやら携帯をいじるやらしている彼女。どうみても暇そうなのに。
だから何度か脅してみたけど、今回はなかなかウンと言ってくれない。


そりゃあそうだろう。
外は雪まで降りだしてしまったし、

うとうとと瞳を潤ませているちとせは尚更行きたくないと思う。
いや、分かってる。
分かってるよ。


「分かってるけど、すぐそこのコンビニだから」

「い、や、だ!」

「……」


いつもなら渋々でも行ってくれるのに、おかしいな。


「草壁さんに、頼めばいいじゃん!」

「今いないよ」

「じゃあ鉛筆で書けばいいでしょ!」

「統一性がないのはダメ」


ここまでグズグズいう子じゃないのに、やっぱりおかしい。


「一体、なにがそんなに嫌なの?」

「…っ!」


それを聞いた途端、ちとせは頬をピンク色に染めてうつむいてしまった。

(え、何か変なこと聞いた?)


いうなれば小動物?
別に背が小さいとか言ってるんじゃなくて、仕草的なものが。
なんだかその様がとても可愛く見えてしまって、ついつい襲ってしまおうかと思った。


「だっ、て……」

「ん?」


「寂しい、もん…」

「…!」



え、なにこれ?

ドッキリ?



何でちとせがこんなに素直なの?

何で、こんなに可愛いわけ?


しばらく固く目をつぶってちとせを見ないようにしないと、どうにも自分が危ない気がした。




「…じゃあ僕も一緒に行くから、それならどう?」

「……」


とりあえずは治まった自分の理性の強さに感激。
日頃こういうことにストイックで本当によかったと思った。

僕も一緒に行く、なんて、もうその時点でちとせを買い出しに行かせる意味がなくなっていたのだけど、今の僕は少しおかしい。

黙り込んだままの彼女に、小さな子をあやすかのように問い掛けた。


「まだ何かあるの?」

「ん、……」


ちとせはまたモジモジとしてしまって、頬は先ほどよりさらに紅潮しだす。


僕には他に思い当たる理由がないから、ちとせにちゃんと聞くしかない。



「…なに?」

「…て、」


「て?」


「手、繋いでくれるなら、行く…っ」





「……ワオ」

もう襲っていい?


「雲雀…っ、お願いっ」


いつも以上に素直で、僕が戸惑ってしまうほどちとせが可愛くてしょうがなかった。

照れ臭そうに見上げてくるちとせに、一瞬キスしてしまいそうになったけど、それはどうにか押さえ込んで。





「あんまり、可愛いこと言わないで…」

ぎゅうっとちとせを抱き込んだところで、








ゴツンッ

「いたっ」





ソファーから落ちた。



「え、…雲雀!?」


ちとせがびっくりしたように僕を見る。


……どうやら夢だったみたい。
(かなりくやしい…)



よく見ればちとせは、紅茶を飲みながら資料の整理をしている最中で。


僕も書かなきゃいけないものがあったんだったとデスクに付けば、


「あ、インク切れた…」


そこで、さっきまでの夢がよみがえる。




もしかしたら…?

もしかしたら、もしかするかもしれない。



「ちとせ、ちょっと買い物してきて」


「あ、いいよ」


「………」


「なんで不機嫌になんのっ!?」



―――――――――……


教訓。
夢で我を忘れるべからず。



continue…

ゆめおちー?
が書きたかったんですがね。
あえなく撃沈っ!
だめだーι('へ`)
って、最近よく(・£・ )←を使います。
「む?」とか「ふーん」とか「うん」みたいな。
全く関係ねぇ!('`;)
ごめんなさい(*с*)

ではまた次回!

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あきゅろす。
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