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風紀委員長様!(完)
突如のライバル







「…ちとせさん、今日の星座占い最下位は、ちとせさんでした。」

何処かで聞いたような台詞を、草壁に言われた。


…最下位…、
果たしてそれは、どういう意味だろうか。



――――――――……


「この子を、風紀委員会に入れる。」

こういう、意味だった。


「…」

唖然、とは文字通り声が喉に支えて出ないという様子であるが。

私はそのまんま唖然、だった。

…この子、とは、言わずとも分かる齋藤さんのこと。


「……な、んで…、」

びっくりして声が出なくて、でも頑張って絞り出したのは疑問符ばかり。
なぜなんでどうしていきなりありえない。


…夏とはいえまだ肌寒い学校一番の朝。
齋藤さんと雲雀と、私。
応接室、雲雀専用デスクの前で。


「…、」

齋藤さんは半分不機嫌そうな表情でそっぽを向いていて、雲雀は私の反応を面白そうに眺めている。

どいつもこいつも問題児ばかりだ。
…齋藤さんは何で風紀委員会に入りたかったくせに不服そうなのだ。雲雀は何でそんなに楽しそうなんだ。


「これから三年生は、本格的な受験シーズンに入るね?」

雲雀は私と齋藤さんを見比べて、…いやどちらかといえば私に諭すような口調で続ける。
まるで私の反応が分かってたみたいな顔。


「受験シーズンの真っ只中に体育祭に文化祭。つまり風紀委員会はとてつもなく忙しくなるわけ。」

デスクの上にあった一枚の資料を私に向けてピラピラと振る彼。
予定表らしきそれには、びっしりと仕事の内容が書き込まれている。


「……。」

「従って、」

彼はそこで一拍置いて、もう一度私たちを見渡す。


「…仕事をよりたくさん、より効率的にできる方を、風紀委員に任命する。」

雲雀は一層愉しげな笑みを濃くして言い切った。


仕事ができる方を、風紀委員にする…?
えーっと、それは、つまり………、
じゃあ仕事ができない方は厄介払い、って……

「……は、」

えぇぇ!!

叫びこそしなかったものの、声はもう唇の奥まで出掛かっていた。
彼は尚、私のことを眺めてはニヤリと意味ありげに笑う。
齋藤さんはほとんど驚いていないから、その様子じゃ事前に雲雀から聞いていたんだろう。(どおりで不満そうなわけだ。)

「そ、な…それ、あ…」

動揺で言葉がうまく繋げない。

つまり、それは、
私と齋藤さんの、勝負…ということになるわけで、

つまり、それは…、
私と齋藤さんの、ある意味恋のライバルのようなことになるわけで。
(いや私は決して雲雀が好きとか、そーゆーんじゃなくて…!)


「どうする?」

彼女はヤル気みたいだけど、ちとせは?

…雲雀の挑発的な目。
「ちとせならやるよね?」って、目。
齋藤さんは黙ったまま私のことをじっと見て、やっぱり真っ直ぐな瞳だ。

…そんなの、聞くまでもない。
答えはもちろん


「やる!」



…これはつまり、
彼女への宣戦布告。




――――――――……



さすが僕のちとせだ。




continue…

短ッ!!
いけど、今回はこれで勘弁してください……!!
次かその次くらいで完結予定です。

ではまた次回!

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