風紀委員長様!(完)
もってけ!
いや、今更なんだけどね。
私は風紀委員なわけで、
雲雀も風紀委員しかも委員長なわけだが。
…彼が学ランを着ている理由は、学校中のみなさまがご存知の通り、「並盛中学の伝統」を重んじているからである。
しかしところで私は、
風紀委員であるにも関わらず、今までブレザーひとつでやって参りました。
まぁね、そろそろ風紀委員会にも慣れてきたし…。
言われるとは思ってたけど…………。
「ちとせ、これ着て僕に奉仕してよ」
さすがに、実際言われると困った。
なんてったってセーラー服!
あの旧式の、お腹辺りが切れてる方のセーラー服である。
ちょっと間違えて手なんか挙げたら腹チラ。
風が吹いたらパンチラ?
あり得ないよね!
私ってば純情乙女組組長だからね!
そんな不真面目なモン、
「着たくない。」
断固拒否です。
雲雀がいつもの社長椅子に腰掛けて、真新しいセーラー服をヒラヒラさせている。
(そして時折スカートをピラピラさせている。)
「なんで」
「なんでも」
だって身の危機を感じるんですよ。
さっきから雲雀の目がおかしいんですもの。
私とセーラー服を交互に見比べて、にたーって、
妙に熱っぽい。
(それは自惚れだろうか。)
とりあえず、気持ち悪い事この上無しである。
極限プンスカだ!(アレ?)
と、怒って(というか不機嫌?)になって紅茶をすすっていられたのも束の間。
「だって…、」
雲雀の声のトーンが急に落ちて、それにハッとして彼の方を見る。
「僕…、ちとせのセーラー服姿が見たかったんだ…。」
細い眉根を寄せてなんとも悲しげに、セーラー服のスカーフを握る雲雀。
その目はまるで、憧れの先輩を見つめるような切なさがこもっている気がする。
「…そんな…、」
なんだか非常なる罪悪感。
まるでそれは、小さな赤ちゃんに「アンパン●ンは存在しない!」とつい言ってしまったような。
「別に…、ちとせがそこまで嫌がるなら、僕…、諦めるよ。」
すっくと立ち上がって、雲雀はセーラー服を衣裳タンスに直そうとする。
(押してダメなら引いてみる。)
…こんなとき雲雀は、ものすごく卑怯だと思う。
「あっ、ちょっと…!」
…………。
声を掛けてから後悔した。
「…何?」
にや、
引っ掛かったね。
とでも言いたげな顔で振り替える彼が憎たらしい。
当然、
先ほどまでの「引いてみる」雲雀は何処かへ行ってしまって。
残るは「押しまくれ」雲雀しか残ってない気がする。
「あ、えと……、」
「………。
無理しないで、僕、我慢するから」
「い、いや、そういう訳では……、」
何が何やら。
ただ雲雀の我が儘を断っただけなのに…っ。
なんでこうも私が焦ってんだよぉっ…!
「え、着てくれるの?」
「……えーと…、」
ああヤバイ。
「引き」雲雀にのせられそうだ……。
「ちとせのセーラー服姿、見たかったな…、」
「…ぅ、」
「これ着てくれたら、僕とお揃いなのにな、」
「〜〜〜〜!
よーしわかった。着よう、着てやろう!」
意を決した。
…女に二言は、無い。
――――――――……
「…着た、けど……、」
なんかスカート短い気がするのは気のせいデスカ?
(それとも雲雀の趣味デスカ?)
恐る恐る、雲雀に呼び掛けてみる。
(着替え中、決して覗かなかった雲雀に、今は拍手を贈りたい。)
ぐるり、雲雀の社長椅子が回って、彼の姿を瞳に捉える。
(どうしよう、変とか言われないかな…っ、)
心臓ばくばく早鐘の如く。
あああ恥ずかしいな、雲雀とお揃いとか照れるっ!
―――……。
…彼と一瞬、目があった。
早鐘は一際大きく打って、私の瞳を濡らしてしまう。
目が合って、逸らせなくなる。
ふいに、彼の瞳が揺れた、
刹那。
「…そう、じゃあもう着替えていいよ。」
「……は、?」
一瞬その言葉の理解に苦しんで、その間を埋めるために口は疑問符を繰り出していた。
「着替えていいよ。聞こえなかった?」
雲雀はぷいと椅子を反対側に回してしまう。
その態度に、私はカチンときた。
何だって私は、アンタの我が儘に付き合ってやったんだろう!
それでその態度は何だ!
ツカツカ、
雲雀に歩みよって、彼の社長椅子を無理矢理こちらに回した。
顔はかろうじてこちらを向いているけれど、目は下を泳いで私を見ない。
「その態度は無いんじゃないの、ちょっと。」
可愛いなら素直に可愛いって言ってみなさい。
さあホラ早く!
「…可愛い。」
「えっ、」
か、かかか可愛…!?
ええええ…っ!!
「ひ、ひひば…っ」
「…何」
君が言ったんでしょ?
可愛いなら素直に言えって。
い、イヤ確かにそう言ったけど…。
(…正確には「思った」。雲雀の読心術も大概にしてほしいね。)
…しかし、…そうまでハッキリ言われると恥ずかしいのはこちらである。
さっきまで怒っていたのも忘れて、立場は再び雲雀有利となってしまった。
とりあえずは俯きがちに、小さく「ありがとう」と言っておく。
しかし雲雀はそれを聞いたかどうかという内にこう言った。
「さ、何ぐずぐずしてるの。早く着替えなよ」
…それが納得出来ないのである。
可愛いなら何故、着替えろというのか。
(雲雀の事だから、他の奴に見せたくない!なんては言わないだろうと思うのだれけど………。)
「…理由も素直に言ってよ」
またむぅっと膨れながら催促すれば、雲雀はハァとため息を吐いた。
(これは呆れではなくて、きっと面倒くさいんだろう。)
「ちとせ、襲われたいの?」
――――――。
暫しの間。
「……………わお!」
「わお、じゃないよ。自覚して」
君さっきから、興奮して手とか挙げすぎなんだよ。
腹チラ?
僕にとっては嬉しいけど、ある意味ダメだよね色々。
制御効かなくなったらどうすんの、ちとせが責任とってくれる?
「ぇ…えと………、」
普段無口な彼が、今日は特に弁舌にまくし立てる。
おそらくはよっぽどだったらしい……。
「す、いません…。」
着替えマス。
………、
今回ばかりは敬語。
責任とれないもん、ごめんよ。
「ダメ、許さない。罰としてキス1000回。」
「えぇぇ!?」
――――――――……
僕だって、必死なんだから……。
continue…
はーい…すいませんッ!
タハ---(ノ∀`汗)---ッ!
↑なんかこれがマイブームなんです。
あ、すいません関係ないか……(´`)
最近、こういう私の文が、皆様にどう見られているのか非常に気になります。
ちゃんと文として読めているんだろうか、
変に飛んでないだろうか…とか。
何かありましたら、教えていただけると助かります……!!
ちょっと弱気な雲雀ん?
ではまた次回!
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