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風紀委員長様!(完)
ふしぎ!



この前はエライ目にあった。


いきなり雲雀に、

「うん、ちとせ、キスしよう」

って真顔で言われた!

もちろん逃げたけど捕まったよ、もう。


全く、雲雀は何考えてるんだろう。

キスされて息も絶え絶えのときに
「そういえばコレ、赤ん坊がちとせに飲ませるように言ってたんだ」
とか言いながらいかがわしい色の液体を飲ませるし。

しかも口移し!

ブッ殺されてぇのかコラ!


…これをいっそ言えたらどんなに楽か……。

―――――――……

ぼぅっとしながらの登校。
なんだか今日は、疲れるなぁ…、手をすごく動かしたって感じ。


校門前で立ち止まった。

(校門、こんなに大きかったっけ?)

いつもより大きく感じるそれに、ああ私、疲れてるなぁ……と確信した。

今日はそして、やけに空が高い。というか遠い。



触れている地面が冷たくて、思わず顔を掻いた。



「君、ちとせに似てるね」

不意に掛けられたセリフに、耳がピクンと反応する。

は?
いきなり誰だ、そんな失礼なことを言うやつは。


顔をあげればそこに、雲雀がこちらを見下ろしていて。


アンタね、ちとせに似てるって何だよ。
私がちとせだよ!

そういいかけた口から出た音に私は、

「ゎん」

……思わず固まった。


ワオ!
…なに?
わん?え、なにが?

私は手を見る。
ぴんくの肉球が見えた。

「へぇ、首輪ないね。捨て犬かい?」

いや違います。

ちとせですよ雲雀さん。

「わぅん」

でも出てくるのは犬語だけ。

なに、なにが起こっているの!


思ったとき、ふいに体がフワリと浮いた。

「応接室に行こう。今日はまだちとせがいないんだ」


え、え。
ちょっと待て、やめろ。
軽々しく私を持ち上げるんじゃない!

あっ、やだ、ちょっとどこ触ってんのよ!

私を今すぐ降ろせぇっ!


―――――――……



……どうやら私は犬になっているようだ。

うん、たぶんあの薬の所為。
あのいかがわしいピンクの液体!


でも、雲雀が言うことを聞くくらい信用している人からの薬だし…。(たしか赤ん坊とか言ってたかな?)


たぶん大丈夫、なはず。

冷静に考えれば、それは仕方ないかな、と思う。


まぁ、成るようになるでしょ。



―――――――……

「君、犬種は何かな。スピッツ?にしては静かだし、ポメラニアンにしては小さい……柴犬にしては毛が長いし白いな」

雲雀は淡々と、私を膝に乗せて犬種を挙げていく。

え、なんだろう……?
なんでこんなに犬に詳しいの?


まさか、とは思うけど…

見かけによらず犬派?(どうみても猫派にみえる…)


「ねぇ、ちとせは今何してるんだろう……」


ねぇ、どうして雲雀は犬の私に話し掛けるんだろう?

ある意味こわいんですけど。


雲雀を見上げて(というか怪訝な目で見て)いたら、お決まりのクスッて感じの笑いをされた。


顎の下、喉の上あたりを撫でられる。


「ふ、ゎん……」

あ……気持ちイー…
(犬だもんしょうがない)


「本当、ちとせに似てるね、君」


…んぁー?
(顎下撫でられてるからちょっとハイなの)


そりゃ本人だもん、似てるもなにもないよーアハハ。


「君、ちとせにしようか、名前…」

そう言われて、ハッとした。(我にかえるってこういう事なんだ)



ちょ、ちょ…っ!

やめてよ、恥ずかしい!


「わん、わんわん!」

「そう、やっぱり嬉しいんだね」


違う違う!
そんなこと言ってない!


「うん、分かってる。僕が好きなんでしょ?」


…ワオ、なんだと?

いっぺん死ねクソ雲雀!


そうは思うけど、顎下を撫でられているから尻尾がプルプルと振れる。

これじゃまるで、喜んでるみたいじゃないか。


しかしさすがに、長い間そうされていたらウトウトしてきた。

ふぁーあ……
なんか眠…。


そう瞳を閉じようとしたとき、雲雀がぐるんと私を自分に向けた。


「ちとせ、好きだよ」

…………。

あ、え?

突然の事に頭が混乱してしまう。

ま、まって…!
何?すき?(すペシャルきッズセットの略ですか?)


「君、可愛いね」

そのキョトンとした反応に、雲雀はクスクスと笑った。

よく考えればちとせは犬の私の名前なんだから、特に照れたりする必要はなかったんだけど。


とにかく紛らわしい。

怒って文句を言おうと(吠えてやろうと)したとき、

ぐゎわんっ!

と何かが大きくなるような感覚がして。


人間の、つまりは私の手のひらが見えた。



………あり?

肉球は?

え、フサフサの犬の毛は………?


「ちとせ……」

呼ばれた名前に、上を見上げた。

驚いた雲雀の顔。(珍しい………)


「…私、…人間に戻ったんだっ!」

きゃっ!やったね!

久々のような感覚。

ハハハッ!

雲雀、さっきはよくも紛らわしい名前つけてくれたな!


さぁ殴ってやる!
と思ったところに、
耳まで真っ赤になって向こうを向いている雲雀が目に入った。


「あ、の…、ちとせ……服、着なよ………」


え、………!!

慌てて見下ろす私。


…………真っ裸。


「ひ、ひゃああああっ!」


―――――…

犬になっても、君は変わらないね。




continue…

orz…
え、もうなんかすいませんでした……(´Д`)

スランプなんです、許して……っ!

ではまた次回!

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あきゅろす。
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