アブノーマルライフ!
第一夜
そう考えると、この状況は余程おかしかった。
母は玄関で、大きいボストンバック2つにキャリーバック1つ、ポシェットを1つ腰にしていた。
私はといえば、重そうな母に比べ、実に軽装備。
ふつうのTシャツにズボン。
目線は、母の後ろのソレに集中していた。
「悪いけどちとせ、ママね、これから仕事なの」
「……。それはいいけど、これは誰」
「雲雀恭弥くんと、雲雀きょうやくんよ!」
母が仕事で、海外出勤だと言った。
父は元々単身赴任だった。
当然私は、家に独り暮らしになる。
……しかし、私は独りにはなれなかった。
「…よろしく」
「よろしくね」
母が紹介したのは、妙齢の少年……二人。
一人目、素っ気なく挨拶をしたのは、前髪の切り揃えられた…少々大人っぽい少年だった。
二人目、にやりと意味有りげに挨拶したのは、前髪の長い…少々生意気そうな少年だった。
前髪の長さ以外に、二人の違いは見当たらない。
最も、一人目の…大人っぽい方の少年は眼光がかなり鋭くはあるが。
(まぁどっちにしたって二人とも目付き悪い。)
「…よろしくって何」
「あら、やだ。言ってなかったかしら?拾ったのよ、ついこの間。」
実はこの前の海外出勤でね、恭弥くんときょうやくんが孤児院にいてね、まぁなんて可愛いんだろう!ってもらってきたのっ!
母の説明はどことなく不十分であるが、とにかくこの少年二人は孤児らしい。
…で、拾ったから一緒に住むと…。
いやまておかしいぞ。
「拾った猫は、拾った人が面倒みてよママ」
あんた海外出勤だろ?
どーすんだよ、私、独り暮らしになるのに!
「まあ、…いいじゃない!貴方が面倒みれば。ちとせは猫好きでしょ?」
さて、そろそろ飛行機の時間だわ!
恭弥くん、きょうやくん!別れは寂しいけどまたね!ちとせに面倒みてもらってね〜!
「…うん」
「いってらっしゃい」
―――……。
母は行ってしまった。
「…早くごはんしてよ」
「え、待ってよ僕も遊びたい」
「いや遊ばないから」
狼二人を残して。
――――――――……
そう考えるとこの状況は、実におかしかった。
妙齢の私と妙齢の少年二人。
しかもその少年らは兄弟…つまり双子なわけで、私はその見ず知らず赤の他人。
今日初めてお目にかかった初対面の人間二人と、同居する羽目になった。
「あ、僕焼き魚好きだよ」
「あぁそう」
「…まぁ、美味しいんじゃない?君にしては」
「へぇそう」
二人はあやふやにしゃべりかけてくるので、私はやや空返事ばかりを返した。
外国の孤児院にいたらしいが、どうやら日本人らしい。英語が苦手な私にとってはすごくありがたい。
まぁ彼らと住む事は…、
ありがたくも無いが。
とりあえずはいつも独り暮らしするときのように、適当に夕飯を作った。
彼らはそれぞれ、お気に召してくれたようだ。
嬉しいやら悲しいやら。
感情はアベコベでなかなか定まらない。
とりあえずはこの、容姿端麗な双子との生活を、
成るだけ普通に送りたいと思った。
――――――――……
よろしくこんにちは。
continue…
グダクダです。
「お恥ずかし部屋」から
解禁しました。
ときどき更新。
亀ノロ行進。
ときどき後進?
がんばるぞーェィェィォー←
イメージ的には、恭弥の方が+10的な外見で、きょうやの方が幾分幼い現時代のきょうやというイメージです。
ではまた次回!
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!