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執事雲雀(完)
雨宿り







だから嫌いだった。

雨の日は気分が滅入ってしまうから、嫌いだった。

誰かに甘えてしまいたくなるから、嫌いだった。



――――――――……



「最っ悪…」

異常気象だ台風だ。
雨だ風だ雷だ。


「傘なんか無いってば……もう……。」

最悪。
繰り返し呟いて、屋根の向こう側を伺う。

相変わらず止む気配のない雨雲がもうもうと立ちこめていて、下手すれば覗き込んだ私の顔にも雨粒が八つ当たりしてきた。
お天気お兄さんの馬鹿。

今日は一日中、晴れマークが続きそうですねって、あんなに笑顔で言ってたくせに!
(お天気お姉さんもお天気お兄さんも信用できないんじゃ、一体誰を信じろっていうの。)


「はぁ…、」

仕方ないから、携帯を出した。
発信履歴から雲雀部屋用と書かれた欄にカーソルを合わせて、通話ボタン。

…雲雀に迎えに来てもらおう。

プルルプルルと二度鳴ってから、すぐに彼が出る。


「…もしもし」

何だか少し、今日は元気が無いみたいだ。


「あ、もしもし雲雀?」

「うん、どうしたの?」

「あー、なんか、雨が降りだしちゃって…」

「…傘を忘れたと…。」

「まぁ…、」

「じゃあ迎えに行くよ。」

「ありがとう!」

「場所は?」

「校門の前…」

「10分で行くから。」

「ん、お願いします。」

「ちゃんと待っててね。」

プツ、と切られた。
あ、まだ言おうとしてた事があったんですケドー。
まぁいっか。

ディナーのメニューなんて何でもいいし。


映った待ち受け画面をチラと見てから、パタンと携帯を閉じた。



「…ちとせさん?」

ふ、と。

見上げていた空が少し暗がり、雨がそこだけ止んだ。

「…あ」

骸くん。

紺色の大人用の大きな傘を差した骸くんが、私を見て不思議そうな顔をする。

今日に限ってはあの独特の頭もヘナヘナしていて、それに気付いた骸くんが後頭部に手をやる。
あ、やっぱり変ですか?
って。


「…傘、忘れたんですか」

あんなに天気予報で雨になるって言ってましたのに。

にこっと、少し困ったような表情をされた。
(え、まってそれ何チャンネル?)

携帯に付いた、彼とお揃いのファンタジーなクマのキーホルダーがコツンと人差し指に触れる。
視線をそれに落とす間もなく、骸くんが声を掛けた。


「…よかったら、入って行きませんか?」


屋根の中にまで傘を差し掛けて、私に気を遣ってくれる彼がやっぱり、紳士的な骸くんだと思う。
(どおりでバレンタイン以外もチョコレートが絶えないわけだ。)


「で、でも…、」

でも、無理です。
だって雲雀を迎えに来させているんだもの。
大人しく待っていなかったときには後でとんでもないお仕置きが待っている。
(…決していかがわしいお仕置きではなく。)

だから貴方とは帰れません。
…全てを言い終わる前に、骸くんが口を挟んだ。


「…僕の傘に入っていただけるのでしたら、あの写真をお渡しいたしますよ」


「 ! 」


ニヤリと笑った彼の表情はまるで、私が必ずYESと答えると思っているような。


それは、究極の二者択一。


「どうしますか?」

「…」

「強制は、しませんが。」

骸くんが焦れたように傘を少し揺らす。

骸くんから早く弱味を回収したい。
でも、それは雲雀に余計な心配を掛けることになる。
(あぁこういうときの為に雲雀に携帯を渡しておくべきだった。トランシーバーは運悪く屋敷だ。)


骸くんが、いつ、またこんな条件を出してくるか知れない。
(もしこれを断ったら、次は一生出来そうに無い条件を提示されそうだ。)

雲雀、私、どうしたらいいんだろう。



クマのキーホルダーが雨粒に当たって、涙のように伝っていった。



――――――――……



それはつまり、
私にとっての優先順位が入れ代わる瞬間。




continue…

ああああー短い!!
だめだぁぁあ(><)
こんな駄文はだめだぁぁ!
死にたい!こんな生き恥を曝すくらいなら死んだ方がマシに違いない!

しかしリボーンが完結するまでは死ねない!
ので生きます。
もう少しお付き合いください。

ではまた次回!

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