ファンタの味
第2話
俺ってばおかしいのかな
大好きな人にフラれたのに
顔も見たくないってハッキリと言われたのに
涙が出てこないよ…?
あれからどうやって家に戻ってきたかなんてわからない
只解るのはフラれたっていう辛い現実だけで
胸は未だに苦しみを宿し、そのまま倒れる様にベッドにうつ伏せた
いつもと様子がおかしいご主人に気付いたのかリョーマの愛猫のカルピンが ほぁら と独特な鳴き声を鳴らしながらリョーマにそっと寄り添って来る。
そんなカルピンをみてリョーマは思わず苦笑した
― カルピンにまで気付かれる程落ち込んでるなんて俺も…まだまだだよね
カルピンを近くに呼び寄せ抱き締めると最初の方こそは抵抗したものの直ぐに落ち着き猫相応の愛らしい寝顔を見せた
そんなカルピンを微笑ましく眺めるとそっとベッドに下ろしそのまま腰を上げ部屋から出た
胸の痛みは先刻と比べ落ち着いてはいるもののやはりまだ痛みは残る
― 泣ければどれけ楽なんだろ
階段を降り台所にある冷蔵庫から予め買ってあったファンタを取り出しプルタブを開ける
ファンタからは プシュッ と炭酸の弾ける音が聞こえる
それと同時に、桃城の言葉が脳裏で蘇る
『お前…俺のこと好きじゃないんだろ?遊びだったんだろ?だからキス出来ねぇんだろ?
最低だな、そんな奴だと思わなかったぜ』
― んな訳……
『とっとと出てけよ!!
お前なんかもう知らねぇ、顔も見たくねぇ』
― んな訳無いじゃん!!
ファンタを一気に口内に含む
炭酸が弾けて苦しくなった
それでも、先刻の出来事を忘れたい一心でただひたすら飲み込む
― ねぇ、俺はどうすればいいの?
「…ッハァ…ハァ……苦…しっ……」
リョーマの体からは脱力感からか力が抜け、フラフラと座り込んでしまう
― ねぇ、俺はどうすればいいの?
「顔も見たくない…か」
― ねぇ、俺はどうすればいいの?
「………ぱ…い」
― ねぇ、俺は……
「…も…せんぱっ…」
― どうすればいいの!?
「……好き、好きだよ」
― 嫌いになんか…なれないよ
苦しくて…苦しくて
それでも涙は流れてこない
なんで…
こんなにも彼方が好きなんだよ?
08/02/13
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