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sweets=scout&other=
紙飛行機=恋手紙       猫田×折野?
「何、してるんですか?」

部室の隅で千羽鶴を折っていると、猫田に声をかけられた。
「別に。見れば分かるだろう。鶴を折ってるんだ。」
そう言って猫田にたった今折り終わった鶴を繋ぎ合わせたものを見せる。
誰にでもできる簡単な物なのに、こいつは「わぁっ。凄いっ!!」と歓喜
の声をあげるから、不思議だ。
「そんなに、凄いものじゃないのにどうしておどろくんだ?折田だって、
松下だって作ってるじゃないか。」
松下や折田がつくってた時は、ただ、ふーんと眺めているだけで。俺の時の
様な反応は見せないのに。
「折野先輩だからですよ。」
なぜか猫田は苦い笑みをこぼす。何か間違った事を言ったっけ?
記憶にない。この数分の間だけだが。

「折野先輩、すっごく華奢っぽいのに、大きい物とか沢山つくれるんですから。」
なぜか顔を多少赤らめて、だけど俺を真っ直ぐ見つめて言う。なんだろう。あと、
華奢ってなんだ。複雑なんだが。弱そうだし。
「華奢とは内心複雑だが、猫田は何か折れるか?」

まんま思ったことを言うと、急にあたふたとふためき
「す、すみません!!いや、華奢というのは美しいというか綺麗というか
褒めてるんですっ。…あ、えと俺不器用なんで…紙飛行機位しか……」
顔を青くして、頭をうならせている猫田は面白くて、つい、クスリ、と笑ってしまった。
なんか、ハムスターみたいで可愛かったんだ。
「じゃ、折ろっか。」
鞄から折り紙を一枚取り出して猫田に手渡す。

「猫…田?」
ポーっとして心此処にあらずみたい…に固まってる。
「歩!!」
名前を呼ぶとハッとして、「えぇっ!!」と奇声をあげた。

「い、今名前で、呼びましたっ!?」
「あ、あぁ、悪かったか?」
「い、いえっ。むしろ名前でよんでもらえれば嬉しい…です。」
「そ、そうか。分かった。じゃあこれからは、歩、って呼ぶ。俺のことは
創ってよんで。」
名前で呼ぶ人物は少ないのでなんだか新鮮な感じだ。
「あ、はい。創…先、輩。」
猫田は慣れない呼び方に戸惑いながらも、嬉しそうに笑ってて、こっちも嬉しく
なる。
「そしたら、紙飛行機折ろうか。」
イスに腰掛けて、丁寧に折り始める。
久しぶりかもしれない。こうして飛行機を折るのは。小学生の頃は、休み時間
の度に作っては飛ばしたものだ。
「…どうしたんですか?や、やっぱりつまらないですよね……。」
どうやら俺の手は止まってたみたいだ。
「いや、小学生の頃よく作ったなっ、て。折田はとばしては、風切に当てて、
風切は折田に怒って…。俺はそれを眺めてたんだ。最後は折田がおれに抱きついて
きて……それがお決まりだったな。」
「へぇ、そんな事が。俺の時はよく、紙にメッセージを書いて。それを送りたい相手
に向かって投げて遊んだものです。」
猫田の学校では通信手段にしてたのか。
「でも、いま思えば、危ないよな。」
安全面的に。

「そう、ですよね。もし、恋手紙だったら。他人にあたったら。」
意外だ。
「あ、ゆむって、ロマンチストだな。」
「え?」
「そういうとこ良いとおもうけどな。」
「あ、創先輩はそういう人どう思いますか?」
なんで俺?
「う…ん。綺麗な考え持ってるんだって思えるから、好きなタイプかな。」

答えをだすと、猫田はシャーペンを筆箱から取り出し何かを書き始めたんだ。   その顔はやけに真面目で、いつもの子供っぽさが残った表情とは遠くかけ離れていて、しばらく見惚れてしまっていた。                     「創先輩!」  
シャーペンが歩の手から離れ、机を伝いカランッ、と音をたてながら床を転がる。 彼が勢いよく立てばガタンッと椅子が揺れる。 
そして、歩の口から放たれる言菜はー…

(あなたの心へ飛ばしたい)


(そしたら、あなたは―………)



(受け取とってくれますか?)














END

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