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偶然の愛       捨札×山札
またもザ・カード時代



他人は俺の事を死神と呼んだ。
不幸なんて、たかが迷信に過ぎないというのに、人は異様にこういうのが好きだ。
厨二病かよ。俺は断じて違う。まだ……まともなはずだ。


「やぁーい、死神死神ぃっ。」
悪ガキが俺を取り囲む。
「こらぁーっ!!終を悪くいうなぁっ!!!ね、大丈夫?終。」
優しくてあったかい笑顔が、浮かぶ。懐かしい、記憶。兄ちゃんだ。
「大丈夫なのに…。兄ちゃんが寂しくなるだけだろ…孤立するよ。」
「こ、立?終は難しい言葉知ってるねぇ。凄いや。でも、僕は終がいるから寂しくないもん。」
「「ずっと一緒にいてね、終。」」

昔の事をぼーっと空を見ながら考えていた。
「捨札!!危ないよ!!」
隣にいた山札が叫ぶ。

ダガッ

ボールが勢いよく顔面にぶつかる。
「あぁ〜捨ちゃんごめんちゃいっ!!」
前方から明らかに反省してないしていない特殊の声が聞こえてくる。
てめぇっ…計算してやがったなっ……。
「大丈夫?捨札。」
特殊とは反対に心配し、声を掛けてくれるのは山札。
「あ、あぁ…。」
「保健室行こうか。立てる?」
山札に引っ張ってもらう形で立ちあがる。
「だっさぁー!!」
パックがクスクス笑う。
「こらっ!!二人とも!!」
さすが、組織。兄弟が多いのに慣れてるせいか、叱る所が様になっている。
「早く行こうよ。ここ、血出てるよ。」
左手で前髪をかきあげ、右手の人差指で額をたたく。
「ん?」
触ってみると、赤い液体が指に付く。
「…げっ……。」
「さ、れっつらごーっ!!」
勢いよく走りだす。

「失礼しまーす。」
「失礼します。」
幸い、中に誰も人はいなかった。けれど、不思議だ。なぜ、こいつはお人よしなんだ。ほっときゃ止まるし、自分一人でできるものだ。
「はい、座って、髪、上げて。」
消毒液とガーゼを持った山札に指示をされ、言われた通りにする。
すると、あっという間に、消毒液を塗られ、絆創膏を貼られる。
「はい、おーわり。」
作業が終わるとグシャグシャと頭を撫でられる。
「な、にしてるんだ…?」
「へっ…。ってあぁ!!」
無意識だったのか、ハッとすると、急に焦り出す。
「ごめん。癖でさぁ…。」
「癖?」
問えば、山札は話し出す。
「捨札がにーちゃん探すようにさ。僕も弟を探してるんだ。弟と僕はサッカーが好きでいつも怪我をするんだ。
だから、慣れてるのかもしれないね。」
「もう一度会えると思うか?」
「ん?捨札は会いたくないの?」
そう問われれば、うぐっ、と言葉を詰まらせる。
俺だって、会えるのならば、会いたい。
二卵性双生児で、俺とは全く反対だった兄。だれからも好かれていた、俺を見ていてくれた兄貴。
「会いたい…だろ。」
「そうだよね、でも…。」
「で、も?」
「今は寂しくないからいいの、寂しくない、から。」
儚く笑う。嘘つくように。
「は…。」
急速に思い浮かぶ。さっきまで考えていた事。
お人よしで明るくて、誰かに嫉妬されるくらい愛されて。
でもホントは寂しがりで。
名前が兄ちゃんと同じで「始」で。


「も、もし、もう会っていたら?」
「うーん、それは寂しいなぁ。というか弟の名前と同じなんて滅多にいないし。」
「…名前は?」
「ん?終だけど?」
馬鹿な所も健在で。
「俺だったら、どうする?ちなみに兄は始だ…。」
「まっさかぁ!!って……こんなのあり?!」
「っ、信じがたいがな。」
「え!え?賢いし、でも近づきがたい雰囲気は似てるし…。」
あわあわと焦る山札が可愛く見える。
「俺も信じたくはないけど。」
「ひどいなぁ、まぁ、ありうるなぁ。」
ぷくーっと頬を膨らませたと思ったら、今度は考え始めたり。
百面相かよ。

「だってさ、こんな奴が兄だったら、恋なんてできないじゃないか。」
「僕が邪魔するとでも!?」
「ちげーよ。相変わらず馬鹿だな。兄ちゃんは。」
「むっ。ひどいな、捨札はって、今兄ちゃんっていっ…た?」
「あぁ、でも、双子でも戸籍違えば大丈夫かな…。」
「は?何の話!?」
「覚えてるだろうな?」
「約束かなんかしたの?」
「あぁ、今もう一度する。」
「嫌な予感……。」
「ずっと一緒にいる。というか離れないからな、始。」
「突発すぎないかい?君らしくないよ。終。」
「それほどこっちも寂しかったんだ。」
「僕はその告白には答えてないよ?」
「分かるんだよ。双子だから。」
「可笑しいよ、テレパシーは使えないのに。」
「お前の顔、微かに桃色に染まってるからな。分かりやすいんだ。」
「あーぁ、残念。言ったんだから、守ってね。」
「今度は約束じゃない。お前ごとなんだからな。」
「終も紅いね、お揃い。」
簡単すぎて、でも複雑な二人の約束。




今度は誰にも千切られないように、するんだ。
二人で、一緒に。











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わお!同じです。守中に似てますの…。
でもオレ得ねつ造ですた。えへっ☆←オイ


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あきゅろす。
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