Thousand Clover
§,1
新しい週が始まり、紗代の生活もいつも通りに始まっていた。
両親から病院やカウンセリングに行こうかと誘われたが、そこまで大袈裟にしなくていいと笑って断った。
彼女自身、気になりはするが昔見たホラー映画のシーンが、たまたまフラッシュバックしたのだろうと楽観的に考えていた。
親友の美雪にも一応話したが、心配しながらも気にするなと言ってくれた。
そんな事よりも紗代は目前に控えている、中間試験に頭をかかえていた。
「はぁ…」
今日も稚明を待つために道場に残っていた彼女は、無意識にため息をこぼす。
美雪はすでに帰ってしまい、残るのは男子三名だ。
試験勉強期間が明日から始まるので、いつもより早く帰っていく部員。
「神崎、俺達も帰るわ。じゃーな」
「ああ、またな」
とうとう部長を残して男子二人も帰ってしまう。
紗代と部長だけとなってしまった射場は、しんと静まりかえった。
「わ、私も帰ろうかな」
上座で正座していた紗代は、居たたまれなくなって腰を上げる。
「小此木」
部室へ入ろうとする彼女に神崎は呼んだ。
「明日、査定を受けに行くから」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!