Bloody Cloth 第ニ節 この武器を使える聖巫女、それがリディスが背負う使命。 どんな吸血鬼も一掃し、どんなハンターよりも桁外れに高貴で強い。 大英帝国で生を受けた時からリディスは国の、女王の、所有物になっていた。 『何百年に一度、聖巫女が誕生した国は、夜の世界に安寧と平和が約束される』 古から伝わるその言葉。 現に大英帝国の夜の街は、綺麗すぎるほど綺麗に掃除されている。 それは彼女がどれだけのモノを、始末してきたのかを物語っていた。 今回ここに来た訳も女王の命。 フランスを脅かす闇を排除して来いとのこと。 陽の神に愛された彼女の役割であり使命。 闇のモノから救う度に女王は誉め称えた。 しかし反対に、リディスの内には別の何かが蓄積されていく。 この雪の様に静かに、静かに…… 「でもいずれ雪は溶けるけど、私の雪は一向に溶けないわね……」 ぽつり、そう呟いて彼女は元来た道を引き返した。 [*back] [戻る] |