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91. うらみち
外出る前に気付いた新事実に軽く気分は落ち込むものの、当初の予定通りに服を買いに行く事にした。くそっ、あぁ言った手前、 はいそうですか。浴衣だけ買いにいきましょーねぇ。 なぁんて 言えるかッッ!!!!!!!軽く握り拳をグッと握る。

「なあ 真っ白。ありゃなんだぁ?」
「あぁ、あれは車。タービンとか何とかで回ってガソリン燃やして動いている機械。」
「へえ・・・・・・盗っちまってもぉ・・・大丈、夫か?」
「駄目です。後で絵本買ってあげるから 我慢してください。」
「えほんぅ?」
「車の分解された様子が乗った百科事典。」
「マジか!!?!!」
「・・・辞典じゃなくて 絵本かもしれないけど(量が)」
「それでいいぜッ! その約束、忘れんなよっ!!」
「えぇ。帰る前に言って下されば。」
「おい、忘れる前提かよ。」
「や、色々と買い込むんで、それで忘れるかなぁ、と・・・。」
「なぁ、真っ白。ありゃなんだ?」
「あ、チワワ。目がおっきくて つい踏んじゃいそうになる小犬のことですね。」
「・・・踏んじまいそうになるのか?」
「うーん・・・きゃんきゃん騒ぐから、踏まないこともないのはないけど・・・・・・そういうきゃんきゃん騒ぐ騒音の事で捨てられる可能性の一番高い犬でもありますね。」
「へぇ、捨てられんのか。」
「まぁ。飼うなら飼うで責任とって飼わないと・・・。まぁ、あぁ言う かわいい だけの犬は飼うつもりないですけど。」
「ハッ。かわいいだけの犬、ねぇ・・・。」
「?」
「なあ。あの犬の飼い主よぉ… さっきからこっちを見ちゃいねえか?」
「あー・・・別に とぼすつもりはなかったんですが・・・まぁいっか。忠告、ってな事だけで。」
「いいのかよ。」
「まぁ。あ、次・・・ここを真っ直ぐ?」
「なんでぃ、心配だなぁ、おい。」
「う゛・・・ち、地理感が無いんですよッ!!」

でも何とか頭をふり絞って道順を思い出す。ユニクロとその他諸々の服屋さんの入っているとこは、確かこの道順で当たってるはずっ! まとめ買いする時期も最近無かったのでご無沙汰であったが・・・多分、覚えてるはずだ、多分。着かなかったとしても、何時もの倍かかると言う事で、よし!
俗に言う裏道を通って目的の場所のある道へ行く。

「Wow, 空が遠いぜ。」
「狭ぇなあ。」
「あ、猫ちゃん。」
「Oh, マジだな。」
「黒だな。」
「可愛いなぁ。」
「でも飼う余裕はないんだろ?」
「まぁ、男六人が家に来ましたし。」
「悪かったな。」
「いえ、別に。気にしてませんよ。一人でも六人でも・・・あ、変わるか。」
「おいおい。なんだあ そりゃぁ。」
「まぁ、六人でも気にした事じゃない、ってことですよ。ふふふん、何でも屋は何でも受け止めてこその何でも屋ですから。」
「おいおい、じゃぁ 俺達を受け入れたってのは 仕事だとでも言うのか?」
「あはは、それだったら金 ふんだくってますよ。」
「おぉっと、こいつは現金だなぁ!」
「でも、金 ふんだくってないでしょ?私、事前にふんだくるタイプなんです。」
「ふんだくる、っておい。提示された金以上を支払わせる、って事か?」
「え。」

政宗さんの言葉に振りかえる。政宗さんとチカさんは笑ったままだった。

「ふんだくるって・・・予想以上の金を提示させてさっさと追い払う事なんじゃないんですか?」
「ハハッ、こいつぁ 驚きだなあ!」

チカさんが笑いながら私の頭をバシバシと叩く。そんなには痛くないが。

「なぁ、おい。まさか・・・気にいらねぇ客には、その『ふんだくる』とやらをして、追い返したのか?」

政宗さんがさり気なく 私の頭からチカさんの手を退けて尋ねる。顔が笑ってる。
気にいらない客かぁ・・・種々様々だったけど・・・自分の事しか考えてなかった人とかにはした事あるなぁ・・・。

「・・・まぁ。」
「ふぅん、じゃ。俺達はアンタに気にいられた客、でいいんだな?」
「? えーっと・・・まあ。」

気にいると言うか・・・まぁ、安心できるし何も害をなさないと思って拾っただけなんだけどな・・・。
だけど、その言葉にチカさんも政宗さんも笑っていた。さっきから二人が笑っている笑顔は、嫌悪感を持たせる笑いではなかった。なんか、子供っぽい。無邪気な子供みたいな嬉しさを表しさ笑いだった。笑み?

「あ、白猫。」
「お、本当だな。」
「あの white cat は真っ白な。」
「あ、さっきの黒猫のとこに行った。」
「白猫を待ってたのかねぇ。」
「じゃぁ、あの黒猫は俺だな。」
「何言ってんだぁ?田舎もんがよぉ 」
「Ah? 手前ぇも田舎もんじゃねぇか。西海の鬼よぉ!」

二人が頭上で掛けあいを始める。なんか二人との距離が縮んだような気がしたので、 仲良くしている白猫と黒猫から目を離さずに、二人の腕をとって自分の前でクロスさせてみた。

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