76.言い訳 「はい、これでよし。」 「あ・・・ありがとうございます。」 佐助さんが服を元に戻してくれ、立った。 佐助さんの疲れた顔が見えた。・・・あ、そうか。 「佐助さん。私、甘えてましたか?」 「ぶっ!」 何故か佐助さんが吹いた。幸村さんが身を乗り出したような気がした。 「え、えーっと・・・な、何を言って、いるのか なあ・・・?」 佐助さんは視線を空中へ動かして、話を逸らそうとしている。 ・・・・・・. 「・・・いえ。また他人に迷惑をかけて、迷惑になったんじゃないかと思って・・・・・・。」 その疲れも自分が甘えを出したからではないだろうか。自分が甘えを出した所為で他人から嫌われるのではないか。そんなチンケな所は今でも変わらない。 「ん・・・それは、真っ白ちゃんの言う 甘え が?」 佐助さんが意味を問い質すような質問をする。 あぁ やっぱり誰も自分を分かってくれる人間なんていないんだ、と思う自分は、やっぱり駄目な人間だと思う。 「・・・ん、まぁ。」 多分、動揺した所為で軽く落ちているのだろう。気分が。私は自分で頬を叩いて気を取り直した。 駄目だ、きっと ちょっと動揺してしまって気分が落ちてしまっただけなんだ。きっと そうなんだ。 「すみません、佐助さん。変な質問しちゃって。 手当、ありがとうございます。」 「 ん。・・・あんま 無理しないでよ?」 軽く目を開く。彼は今、どんな意味で言ったのだろうか。とりあえず、「ありがとうございます」とだけ返しといた。彼の返した笑顔の意味が分からなかった。 椅子に座っていた幸村さんが立った。私が寝室に戻る時は、必然的に幸村さんの傍を通る事になる。幸村さんが私の手を取った。 「? 幸村さん、どうしましたか?」 「・・・しばし、手を握らせてくれ。」 と、幸村さんは両手で私の手を自分の胸の所で握りしめた。佐助さんが何だか居心地悪そうにしていた。 全てを分かるのは無理だ。そんなことを考えている自分は、ひどく落ち込んでいるのだと思った。 「寝たらなおりますよ。」 と、心配そうにしている幸村さんと佐助さんに言っておいた。 人格の否定 なんて できない。 [*前へ][次へ#] [戻る] |