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75.5. ちりょう
「あ、酒飲んでんの?」
「・・・秘酒です…。」
「・・・まさか、旦那になんかされた?」
「・・・別に…」
「・・・でも、顔真っ赤だぜ?」
「・・・別に…」
「風呂、入らないのかい?」
「・・・後で…」
「そういや、全員入りきらないんだが。」
「・・・誰か一人か二人、押入れの中で寝て下さい…。」
「でも、確か押入れの上には隠してあんだろ?」
「・・・そんなバレそうな場所には置いといてません。」
「まぁ、そいつはそうだけどよ。じゃ、瀬戸内コンビが押入れに決まりかなぁ。」
「・・・」
「俺と片倉さんだと、お互いの主人が気になっちゃうしね。」
「・・・そうですね…。」
「ん、あ。あくまで主従関係の意味だからね。」
「大丈夫ですよ、佐助さん…。」
「え?」
「私、例え、佐助さんが幸村さんにあんな事されても・・・だ、大丈夫です・・・うん、だ だいじょう、ぶ・・・こ、こんな世界もあるんだ、って・・・全部う、受け止める 事にしたんだか ら。」
「え?な、何?何勘違いしてんの?!!?!真っ白ちゃん!!?!ほ、ほら!泣かないでッ!」
「と とりあえず・・・今日あった事、無しにしときます・・・無し、無しっ!!!」

やっぱ旦那、何かしたのかッ!!!!

「ま、まぁ・・・何されたのか聞かないけど…」
「だ、大丈夫です、よ…わ、私……な なんでも受けきれる自信、あ あります、しぃ・・・!!た、例え 真田さんと佐助しゃんが、だ、だんしゅう?的な意味であっても、べ 別に・・・!!!!」
「わっ!!!!!待って!それ誤解ッ!!!なんかすっごい誤解してるッッ!!!!!!」
「・・・ふぇ?」

う゛ッ!!酒の威力、凄まじッ!!!

「だ、だて・・・幸村さん、なんか 前にも佐助さんに、罰ゲーム み、みたいな事、やったと、言う し・・・」
「え。罰ゲーム?罰ゲームみたいな事?・・・あ、あー、あー・・・。」
「? 何か、思い当たる事もあるんですか?」
「んー・・・ま、真田の旦那が幼い頃の話なんだけどね。俺様、仕事で遅くなっちゃって、旦那にポカスカ殴られたって話。」
「?」

話の続きを促すように俺の瞳を見る。わー・・・酒の力って、すばら いやいや 凄まじい。部屋が真っ暗って言う効果もあるしなー・・・なんか、外で微かに光る光だけだもん、ここの照光。

「その後は・・・花を一輪貰った。」
「・・・はな?」
「そ、花。『佐助、余り遅くなるではないぞッ!』って、涙と鼻水で濡れた顔で言われちゃって。」

その時を思い出し、なんか心が温かくなった。真っ白ちゃんは少し俺から離れて 口元に指を持って行き、しばらく考えた後、あぁ と頷いた。あぁ、そう言えば、俺ら密着した状態にあったっけ?

「ん、納得しました。幸村さんの行動の意味。佐助さん、ヒントの御提供、ありがとうございました。」
「え?いいって事さ!じゃぁ、傷口の手当、させてもらってもいいかな?」
「え。どう ぞ?」
「・・・」

無防備すぎるだろッ!!!

「脱脂綿と包帯、消毒薬も持ってきたから、ちょっと診させてもらうねー。」
「え、えぇ。どうぞ?」

あー・・・本当、無防備すぎる。そんな 男に堂々と隙見せちゃ駄目でしょッ!!

「あ。そういや私、風呂入れない。」
「んー・・・そうね。」

真っ白ちゃんは自ら服の裾を持ち上げ、俺に見えるように腹部を曝しだす。俺が縫った傷口が見えた。
黒い糸で縫ったが、傷口の周辺に血がこびりついていた。

「・・・ちょっと、血 取るわ。」
「え。そんなの水で」
「だぁめ。真っ白ちゃんは女の子だから、もう少し自覚して。」

この無防備な事も含めて。
真っ白ちゃんは嫌そうに返事して、脱脂綿に消毒液を浸す俺の行動を見る。
・・・うん、俺様大丈夫、大丈夫っ!

「・・・で。旦那、何してんの?」
「あ、さ 幸村さん。」
「うむ。佐助がちょっと遅いから、少し様子を見ただけでござる。」

旦那が俺の後ろに立って、見てました。

「あ。幸村さん、さっきはごめんなさい。つい、うっかり 真田さんと言ってしまって・・・。本当に すみません。」
「いいでござる。今のは無しにするがな。真っ白殿が某の事、幸村と呼んでいただければ、それでいいでござる。」

真っ白ちゃんは一つ息を吐き、「よかった。」と言った。
・・・どうやら、俺がいない一ヶ月の間、旦那にも真っ白ちゃんにも色々とあったのらしい。ま、旦那の行動と真っ白ちゃんの動作や行動から、男と女の関係にはいってないと思うが。 と言うか、女人嫌いの旦那がいきなりそんなとこまでいける筈ないだろ。いや、それでもそれである事もあるかもしれないが・・・だが、真っ白ちゃんは旦那の事を心配してくれてた辺りと、実はひっそりと聞こえていた旦那との会話からも、自らそんな行為に出るような子じゃないから、その心配はない。っつーわけで、旦那と真っ白ちゃんの男女の関係は無いに等しい、と!!

「・・・」

旦那は俺の後ろにある椅子に座って、俺の治療する様子を見る。

「真っ白殿、一度 某と寝たでござるよな?」

ぶっ!

「幸村さん・・・?そのような事は何が何でも誰彼構わず言うな、って言わなかったっけ?寝た、と言うよりか・・・ただ、幸村さんが私の腹に突っ伏して寝てただけでしょ?」
「? そうでござったか。」
「そーですよ。そういう時は、私に寄り掛かって寝てた、って事ですから。次からは間違えないで下さいね。」
「 分かったでござる!」

と、旦那は元気の良い返事をした。
・・・旦那、俺は旦那をそんな子に育てた覚えは無いよ・・・…。

「あ、真っ白ちゃん。腕、動かさないでね。」
「あ、はい。すみません。」

と 真っ白ちゃんは旦那に向けて作った怒りの拳を閉まった。
真っ白ちゃんは外の風景を見ながら俺の治療を受け、旦那はそんな俺達の様子を見ながら。 俺はこうして治療を終えた。

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あきゅろす。
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