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75. きす
食事を終えて各自各々好き勝手な事をした。
佐助さんは皆の食べ終えた食器を洗いに行ってくれたし、幸村さんと政宗さんは、こちらのカウンセリング用に使う箱庭で遊び出し、こじゅさんは机の片付け、チカさんは近くにある機具に手を出して弄び、なりさんは近くの本棚に寄り掛かって本を読んでいる。
私はと言うと、チカさんに頼んで持ってきてもらった赤いノートパソコンで仕事をしていた。仕事と言っても、まぁ アレだが。

「なぁ、それで本当に稼げんのか?」
「まぁ・・・副収入ですし。望むほどじゃありませんよ。」
「望む?」
「まぁ・・・大抵は寄付するし。手元に残るのはほんの一部。」
「へぇ。」
「まぁ、生活費の足しにはなる位 ですけどね。」

そう言いながらエンターキーを押した。入れました、と言う表示が出た。

「でもそれ、博打みたいなもんだろ?」
「まぁ、でも 時節と情勢、状況さえ分かれば 大丈夫ですよ。ある程度までのめり込まなければ大丈夫だし。」
「ふぅん・・・」
「・・・どうかした?」

チカさんがそれきり黙ってパソコンのデスクトップを見たから、つい聞いてしまった。チカさんは「いいや」と首を振って、

「バラしてみてぇなぁ、と思っただけで・・・」
「駄目ですから。」

この生活費を潰すわけにはいかないッ!ついパソコンを胸に抱えて距離を取ってしまった。

「あー、やらねぇよ、やらねぇ。でも、バラしたいもんはバラしたいんだよなぁ・・・。」
「じゃぁ、使わなくなった携帯があるんで それ分解して下さい。」
「おッ!いいのか?!じゃぁ、工具はどこにあんだ?」
「ないです。」
「マイナスドライバーもかよッ!!?!」
「えぇ。いざとなればヘアピン、針でなんとかなりますからッ!!!」
「(あの時、針 熱消毒しといてよかった・・・)」

何時の間にか佐助さんが戻ってきて 畳んだ着物を持っていた。

「ちくしょぉ・・・それじゃぁ、バラしたくてもバラせねぇじゃねぇかッ!!!」
「・・・幸村さんの携帯ならなぶってもいいですよ。あ、バラしても大丈夫かな?」
「!!?! 真っ白殿ッ!!?!」

幸村さんが驚いた声で私を見て、首元にかかる携帯を守った。

「・・・そういや忘れてた。旦那、それ 何?」
「えぇと・・・けいたい、とやらでござる。」
「携帯?」
「迷子防止用。後、どこでも通話できる。まぁ、やっやこしい事に巻き込みそうなんで、私一人分の一件しかありませんか。」
「うーん、ちょっと分からなかったから もう少し分かりやすく。」
「迷子防止用。面倒事防止の為 私一人の番号しか登録してない。どこでも通話可能。」
「うんうん・・・なんとなく分かった。」
「それだけで十分です。」
「幸村、手前ぇ 迷子になったのか? Are you kid?」
「なッ!違うでござるよッ!!!そ、某だって・・・あのような事がなければ・・・ッ!」
「?」

佐助さんが 分からない と言う顔で私を見る。私だってそのような心当たりは無い。こーぷの帰りに一つか二つ話したら、幸村さんが顔真っ赤かにして走って去った と言う事しか分からない。

「 あ。」
「ん、どうした?」

急に幸村さんに言わねばならない事を思い出した。
佐助さんの質問をスルーし、入れる場所に時間と制限を設けて、ウィンドウを閉じる。そして喧嘩しかけた幸村さんを寝室の外へ連れて行き、ドアを閉めた。
バタン、と音がした。

「? どうかしたでござるか?」

と、幸村さんは私に腕を掴まれたまま尋ねてきた。腕を外す。

「忘れてた。彼らに お 手洗いの使い方教えてあげといて。」
「? 厠の使い方でござるか?何故、某が・・・」
「察して!」

女性が男性にそ その使い方を教えてあげるとは・・・画面の前の皆さんなら分かるよねッ!!!異性にそのような使い方を教えてあげると言う羞恥心をッ!!!
私の余りの説得に折れてくれたのか、幸村さんは「分かったでござる 」と言った。

「ありがとう、真田さん・・・」
「罰でござるな。」
「え。」

佐助さん佐助さんと言っている所為で流れで言ってしまった なんか禁句ワード。とりあえず、幸村さんの顔が離れていったのが分かった。
「まずは一回目でござるな!」とキラキラと輝くような笑顔で幸村さんは そう言った。真田と言ってやろうか・・・と心の中で毒づいたが、とりあえずなんか足から来た悪寒によってそれは止めておく。

「真っ白殿、顔が赤いでござるな。」
「さ 幸村さん、そう言う事、誰にも構わずやっちゃいけませんよ?特に女性。」
「大丈夫でござる。真っ白殿にしかやらん。」

佐助にはやったが、とボソッと呟いた声は聞かない事にした。それにしてもまだ顔が赤いなぁ と言っていた幸村さんの言葉も、一応、今は、スルーしとこう。



今日は酒に溺れて 今日の唇の感触を忘れようと思う。後、羞恥心。

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あきゅろす。
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