59.仕事 「と言う事で、よろしいでしょうか?えぇっと・・・。」 「片倉小十郎。小十郎で良い。」 「、小十郎さん。」 「あぁ・・・真田んとこには悪い事をしたからな・・・。」 「いえ、そういうなら、私の方がもっと、罪は重いですよ。」 「・・・ま、アンタのそのお陰で、ある程度事情は分かったってもんだ。つまり、あんたのとこで俺らについて調べても 無駄だってんだろ?」 「 えぇ、そうですよ。」 小十郎さんの主の皮肉を笑って受け止める。そこまで史実が違えば、どうしようも無いってことだ。まぁ、違う楽しみ方があるとは言えばあるが。 「・・・ところでアンタ、眠いんじゃぁなかったのか。」 「えぇ、眠いです。眠たいです。眠い。」 「だが、来客が来るそうだぞ。」 狐さんの言葉に、外に注意を向ける。カンカンカン と、忙しなく掛けあがる音が聞こえる。焦燥、か。 彼らには突然で悪かったが、もう一仕事残ってそうだ。彼らには無理やり寝室の方に押し込めて、気配を殺して悟られないように、と言ってから扉を閉めて玄関に向かった。一体、どんなお客さんが来るとでも言うのか。 [*前へ][次へ#] [戻る] |