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24.はみがき
Stand up,と真っ白殿は政宗殿がよく使う言葉で某に言った。真っ白殿が両手で某に立つように促していたので、某は敷布団から出て真っ白殿の隣に立った。
真っ白殿の背は某より低い。某の頭一個分位低かった。女人だから当たり前なのだろうか と思うが、かすがと言う佐助の同僚や前田家の夫妻や魔王の妻を思い出すと真っ白殿よりも高かった気がする。
真っ白殿が某を招いて「紹介するから」と言って連れて行くとき、某は不意「身につけなくてもいいでござるか?」と聞いてしまった。
真っ白殿はしばし某の顔を見た後某の横に置いた武具を見て「あぁ、そう言うことね」と呟いた後、しなくていいよ。と答えた。

「もしかしたら錆びるしね。」

・・・もしや入浴するつもりではなかろうか?


真っ白殿はまっすぐ突きあたりにある扉まで歩き、開いた。この扉も寝室に入る時の扉と同じ仕組みであった。
中に入ると、ここにも奇妙なものがあった。白い大きな箱に白い奇妙な物体。

真っ白殿は昨夜と同様の丁寧な説明を某にしてくれた。これが洗面台でこうやってすると水が出てきてこうやってすると水が止まって、で これは洗濯機でこうすると動くんだけど、まぁいいや。幸村さんの場合はこの籠に放り込んどいて。

「何を、でござる?」
「脱いだもの。」

で 次にこっちだけどここはお風呂。使い方は後で教えるね。で、ここが・・・・・・・・・

「・・・幸村さん?」
「え、どうしたでござるか、真っ白殿?」
「ちゃんと聞いてる?幸村さん、ぼーっとしてるように見えたから・・・。」

説明するの苦手だしめんどいから、二度手間は嫌なんだ。と真っ白殿は片手に何やら白いものを握りながら某に言った。真っ白殿を見るのに夢中でござった、とは言わないでおこう。

真っ白殿は某に先程握っておられた白いものを手渡す。

「これは何でござるか?」
「歯ブラシ。」
「はぶらし?」
「ん、こうやって使って 」

と真っ白殿は某が握っているものと違う色の はぶらしを握り、なにやら白いものを捻りだした。

「やっぱ朝ので無くなりかけたか・・・」
「真っ白殿、それは何でござるか?」
「ん?歯ブラシ。」
「え、はぶらし でござるか?」
「え、あぁごめん、ごめん、間違えた。歯磨き粉。」

幸村さん、これ使ってみ。と真っ白殿は某に はみがきこ とやらを渡す。真っ白殿がやったのと同じ要領ですると、ぶちゅ と奇妙な音を出して白い塊が出てきた。

「・・・幸村さん、力 強いんだね。」
「?」
「一回それ、口に咥えてみ?」

どういう事でござるか、と尋ねようとしたら真っ白殿にそう返された。某は真っ白殿に言われた通りにそれを入れてみた。

「ッッッ!!!!!」
「おぉ。」

瞬間、口の中に辛い味が広がって それを口から出して放り投げる。ピシッと言う音と真っ白殿の声が聞こえた。

「ま、真っ白殿・・・・・・み、水を下され・・・。」
「はい、水。飲み込まないでね。」

真っ白殿から貰った水を口に含みゆすぐ。真っ白殿が ここに出してね、と言ったのでそこに出した。真っ白殿がそこを捻ると水が出てきた。

「・・・。」
「えぇっと・・・あの風に歯磨き粉を出しすぎるとあぁなるので気をつけましょうね。」
「・・・真っ白殿、これは何でござるか?某が映っているでござる・・・このヒビは何でござるか?」
「あぁ、それ鏡。そしてそのヒビは今君がいれたもの。」

真っ白殿が間髪そういれた。

「・・・真っ白殿、゛君゛で ござるか?」
「ん?あぁ、ごめん。今のは突っ込みの癖。」
「癖?」
「ん、そう。あんな感じに突っ込みいれると、つい゛君゛って言っちゃう。」
「・・・そうでござるか。」
「ん、ところで幸村さん。」
「何でござるか?」

「こんな会話、昨日もしてなかったけ?」
「・・・気のせいでござるよ?」


じゃぁ、夢見てたのかなぁ・・・と真っ白殿はそう言った。


(今のは無し でござるな)




黒?

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