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22.おきた
「破廉恥でござるぅぅぅぅううう!!!!!!」

私の一日は幸村さんのその一声で始まったと言っても過言ではないと思う。

「ままま真っ白殿!!!なぜそんな格好でいらしてるのだっ?!?!お、女子が男児の前で裸など・・・ッ!!!破廉恥極りないでござるッッッ!!!!!!!」
「あー、ん。ごめん、これは流石にこっちが悪かったわ。あ、嫌なら後ろ向いててね。」

と、両手で顔を隠している幸村さんに言った。幸村さんはもごもごと何か言ってた後、後ろを向いた。(あ、彼からしてみれば、正面を向いた、か。)
幸村さんが向こうを向いているうちに私は上を脱ぎ、中のものを着た。上はまた出かける時に着ればいいだろう。

着替え終わると、敷布団の上で上半身を起こし、微動だにしない幸村さんのところに行った。真っ赤な耳が見えた。
幸村さんが枕元の横に置いた装備品を踏まないように気をつけていきながら幸村さんの隣に座る。

「ごめんね。」
「・・・以後気を付けてほしいでござる・・・・・・。」
「うん、分かった。」

両手で顔を覆う幸村さんにそう返す。
ところで、と私は幸村さんに話を切り出す。幸村さんは顔から両手を離して私を見た。顔がまだ赤かった。

「幸村さん、歯磨きと顔洗うの、しますか?」
「? するでござるよ。」

あぁ、それなら良かった。
私は立ちあがって両手で幸村さんに立ち上がるように催促する。Stand up,と呟いてしまった。
幸村さんは不思議そうに私の催促に答えながら立ち上がる。・・・背、高いね。

「真っ白殿も政宗殿と同じ不思議な言葉を使うのであるな。」
「不思議な言葉?」
「えぇと・・・先程の すたんどあぷ、でござる。」
「あぁ、英語ね。」
「英語でござるか?」
「うん、聞いたことない?」
「そう言えば、この前政宗殿がそのような事を言っていたでござる。Hey!とか言いながら。」
「あれ、幸村さん。発音が流ちょうだね。」
「政宗殿と会う度に聞いているからでござる。」

幸村さんに洗面所の使い方を説明するついでに、流れて二度目の歯磨きをしてしまった。



(そういや、このように並んで歯磨くのは、久しぶりのような気がする。)

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