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21.二日目
「・・・。」

雀の声で起きる・・・わけではない。まずカラスの声が聞こえて小鳥の絶叫が聞こえてまた夢を見て、いつもなら隙間から差し込む太陽の光か自然と起きる。しかしカーテンは無残な形で消滅してた。あれ、太陽が直接窓を照らしてるや。
全開になったデコの生え際を押さえる。しばらく窓の外を見る。上に電車の橋と道が見える。外に人がいたらアウトだな。とりあえずカーテンの代わりを探さなければ。プライバシーの妨害だ、個人情報の流出につながる。

・・・夢かな、消えてるかな。と思ってチラリと横を見る。
昨夜机とクッションを退かしてこちら側へ持ってきた畳の上に敷かれた敷布団の上に、布団を蹴飛ばして気持ちよさそうに寝ている男の子がいた。キリネンコを片手にしっかりと握って。

・・・。

夢でなかったのか。まさか夢オチじゃぁ、と思っていたがそれは無いようだ。

・・・。

壁に掛けたテレビに電源を入れる。本当は箱型のやつを買おうとしたが、置く場所がなくて止めた。以後、これを踏んで壊さないように気をつけている。
芸能人のニュースをやっていた。スルーする。洗面所に向かう。まず顔を洗い髪を洗う。タオルを取り出して髪を拭く。ある程度髪を整えて歯ブラシを取り出す。

・・・あ。幸村さんの分のがない。

鏡を開けて予備のが無いか探す。旅行用のはあったが他に買ってあったはずだ。だが無い。あ、ホテルから貰ってきた歯ブラシセット(未使用)があるじゃないか。
・・・ん、それでいこう。
予備の歯ブラシを確認して鏡を閉める。洗面に備え付けた棚に置いたコップから歯ブラシをとる。お気に入りのコップの取っ手がとれてしまったのでこうやって活用している。
その横に置いた歯磨き粉のチューブを尾から丸めて歯磨き粉を練りだす。買いに行かなければ。そうだ、Jenkyで。Jenkyで買おう。
服はUnikroとか無印で買おう、うん。

歯ブラシに歯磨き粉をつけて、歯を磨きながら寝室に戻る。幸村さんの「お館様ぁ」と言う嬉しそうな声が聞こえた。
タオルを頭に被せたまま、幸村さんが起きないように動いてベットに座る。歯を磨いたまま国内のニュースに入ったニュースを見る。
・・・あー、また起きたんだ。これ。
ほぼ無感情になっている感想を心の中で呟いた。

時間をチラリと見る。テレビの中では五時を回った。そう言えば、よくこんな朝早くから出れるよな、ニュース番組のアナウンサー。私だったら絶対無理。絶対こんな早朝番組とらないよ。後、朝の番組。睡眠時間とられてたまるか。
自室の時計をチラリと見る。五時三分を回っていた。
まぁ、ベットの近くに置いた時計は他のより三分早く回るからね、うん。携帯の方を見る。客間にも時計はあるが、あれは後回しだ。こちらの方はテレビよりも一分早い、まぁいいや。
次に仕事用の携帯を見る。ダークブルーの携帯は夜中鳴らなかった、早朝から鳴らなかった、うん、とても良い子だ。
念のため携帯を開いて着信履歴を調べる。
昨日の仕事以来着信履歴は無い。

・・・。

今日の仕事とやるべきことを頭の中で組み立てて洗面所へ向かう。
溜まった唾を歯磨き粉と共に洗面所に流し、水をそのまま出しっぱなしにして歯ブラシを洗う。また顔を洗う。
髪をもう一度くしゃくしゃと拭いて、洗い場にタオルを入れる。
手櫛で髪を整えて気持ちよさそうに寝ている幸村さんの横を通り過ぎる。・・・あ、涎垂らしている。この枕、幸村さん専用に決定。

ベットの近くにあるデスクの側にある姿見に掛けたドライヤーの電源を入れる。熱風が出てきたら幸村さんが「うぅ・・・」と唸って寝がえりを打った。
それに構わず髪を乾かし、姿見の傍にある本棚を挟んだ向こうにある化粧台からブラシを取り出し髪をとく。

自分の姿を確認し、右目の目やにをとる。・・・白いのが無くなった。

何時もは下に穿いたものを脱いでから色々とするが、幸村さんがいるのでそれをすることは止めた。
だけど寝巻から解放されたいのは事実である。二度寝は今したら困る。

・・・。

化粧台の横に置いた洋服箪笥の扉を開ける。上はこれを着ていこう。下の段を開ける。下はこれで。そのまま横に移動し、もう一つある箪笥の二番目の引き出しを開ける。よし、中はこれとこれとこれで決定だ。

着るものを一通り決めて下を脱ぐ。引き出しから引き出したのを穿く。次に上を着替える為に脱ぐ。
袖の部分を脱ぐときに幸村さんが起きた。幸村さんは少し寝ぼけて手に握ったキリネンコを見て周りを見回して(そういや、幸村さんからこちらは、完全な背後だな)後ろを振り返った。
するとすぐに カッ と顔を赤くして、昨夜と同様の声を張り上げた。


(だけど、昨夜と違って チクッと心が傷むことはなかった)

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あきゅろす。
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