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100. あくしゅ
ガツンッと音がして目を覚ます。ガバッと布団を引き剥がして上半身を起こすと、ソファから落ちて頭を打っている佐助さんと 佐助さんの布団を片手に持って立っている幸村さんがいた。・・・え?お代官ごっこ?あの、帯を外して回す遊びの・・・。と、考えていたら、私に背を向けていた幸村さんが こちらを振り向いた。一体何なのだろうか、と思ってたら急に幸村さんが客用の机を飛び越えて私に飛びついて来た。佐助さんの布団が綺麗に弧を描いたのが見えたッ!
そんな感想を述べる暇も無く、幸村さんが私の方に着地し、そのままの勢いで ソファが床へ崩れた。あ、引っ繰り返った?幸村さんの威力に耐えきれずにソファが床へと引っ繰り返った。私も 微妙に耐えきれずに関節とか、痛い。幸村さんは黙ったままで、ちょっとこの状態って 何か不格好だなぁと思いながら 幸村さんに尋ねる。

「えーっと・・・幸村さん? どうしたの?」
「・・・。」
「んーっと・・・。」

とりあえず 幸村さんの背中をポンポンと叩いた。幸村さんが顔を上げ、じーっと私を見た。なんだ、なんだ。とりあえず目やにをとろうと顔を動かしたら、幸村さんが もふっと抱きついて来て、「佐助」と佐助さんを呼んだ。「はいはい」と佐助さんが一瞬で来た。まあ、目と鼻の距離だし、そんなに遠くないからね・・・。

「お館様は、病気如きで、死ぬ方ではござらぬよな・・・?」
「まぁ・・・確かに。うちの大将 が病気で床に伏せっている姿なんて、想像できないし。」
「・・・そう、であるよな。」

ぎゅっと幸村さんが私を絞めてくる。なんだ、これ・・・あ。私の抱き枕的役割?

「ところで旦那。」
「む?」
「・・・それ、宣戦布告?」
「・・・さぁ。何の事だが分からぬな。」
「・・・真っ白ちゃんが邪魔になってるでしょーが。ほら、真っ白。起き上がって。」
「や、えーっと・・・落ち着いた?」
「まだでござる。」
「・・・なので。」
「・・・あまり旦那を甘やかさないでー。多分 真っ白ちゃんが旦那甘やかすからどんどん腹の底が黒くなってんだよー。」
「えー・・・そんな事言われたって・・・え。もしかして、私・・・子育てに向いてないってやつ?!!?!」
「そうではござらぬ。」
「俺様と もう少し一緒にいてくれんなら、分かるかもよ?」
「・・・佐助。出しゃばるな。」
「風来坊の言葉借りる訳じゃないけどさ。恋に身分も年も関係ないよ?」
「・・・」
「・・・」
「・・・えーっと・・・とりあえず、顔 とか洗って来てもいいですか?もしくは二度寝。」
「駄目。」
「こら!旦那、退きなさいッ!っつーか、このソファ 元に戻すからっ!!」
「あ、そういやそうだ・・・久々にソファで引っ繰り返った事を味わってたら・・すっかり忘れてた。」
「忘れんなよッ!っつーか、前にもあったのかよ…。」
「うん。一人で遊んでいた時に。」
「? 某は その事を知らんでござるよ?」
「そりゃ、 幸村さんが来る前だったから、ね。」

と言って、幸村さんごと身体を起こそうとしたが、無理だった。

「・・・はい、旦那。起きようねー。」
「 嫌でござる。」
「今の真っ白ちゃんの行動見てたでしょー。真っ白が起きようとしてるんだから、邪魔しない。」
「・・・。」

ぶーっと幸村さんが拗ねて私から退く。とりあえず後頭部を掻きながら身体を起こす。しかし、体勢も体勢なのですぐにバランスを崩す。

「やっぱ あの体勢、無理があったんだ。」
「まぁ・・・あったっぽい、ね・・・。」
「・・・すまないでござる。」
「あ、いいよ。幸村さんが悪いわけじゃないし・・・それに。久々にソファから後ろへ転げ落ちる体験を味わえたしね!」
「・・・ちょっと変わってるね、アンタ。」
「? 別に。ただ、自分の思うがままに生きている 節があるだけ。」
「 ふーん。」
「ん。」

・・・。

「ん、」
「? 何でござろうか。」
「握手。」
「握手?」
「ん、そう。握手。」
「・・・何故でござるか?」
「よろしくの合図。今から、踏ん切りを付けるから。」
「・・・ふんぎり、でござるか?」
「んー・・・まぁ、ちょっと・・・皆さんと傷付くのを恐れずに体当たりするっていう覚悟をきめるための。」

協力して、と幸村さんに差し出した右手を軽く振って握手を求める。

「・・・むぅ。 分かったで、ござる。」

と、軽く拗ねて私の握手に応じてくれた。

「 じゃ、よろしくおねがいしますよー、っと。」
「・・・」

結んだ両手を軽く上下に揺らして童謡を歌うみたいに しゃ礼の言葉を口に出す。幸村さんの頬が紅潮していた。
幸村さんのしゃ礼が済み、次は佐助さんに握手を求める。

「あ、次は俺の番?」
「当たり前でしょ。」
「当たり前ですかー。」
「ん、そ。」
「では、右手を拝借。」
「はい、どうぞ。」
「・・・」
「・・・これから、よろしくお願いしますね。」
「・・・こちらこそ。」

と言って 佐助さんとの しゃ礼を終える。佐助さんとのしゃ礼を終えた後に こじゅさん達が寝室から出てきた。

「ん。」
「? なんだ?」
「よろしくの握手。」
「・・・今さらか?」
「んー・・・まぁ、これから皆と体当たり勝負で・・・いこうかな、と。」
「ふーん。」

と言って私が差し出した右手の握手に応じてくれた。

「はい、これから傷付く事を恐れずに体当たりしまーす、っと。はい、政宗さんも。」
「 me , too?」
「うん。全員にやるつもりだし。」
「Ah..are you hiding your claws?」
「・・・や、どっちかって言うと 自己防衛の為。 putting on an air of innocence、だっけ?そっちの方が近い かも。」
「ハッ。inocenceの発音がなっちゃいねぇぜ。」
「 ご指導の程、よどしくお願いしますよ。」
「 、おう。」

と、上下に軽く振り、政宗さんとの握手を終える。次に政宗さんの後ろから出てきたチカさんに握手を求める。

「んぁ? 片倉のおっさんと竜にやった握手か?」
「はい、そ。」
「いいぜ。」
「ありがと。」

チカさんとの握手を終える。最後は なりさんだ。

「ん。」
「貴様、言葉と言うものを知らぬのか。」
「んーっと、どっちかって言うと、身振り行動で示す事が多いから。ぶっちゃけ こーした方が早いと思う時もあるし。」
「・・・まるで 別人のような考えだな。」
「んー・・・個人的に、多種多様な考えを持ち合わせた方が 色んな事に気付きやすいから持ってるだけなんだけど・・・ま、オンとオフの切り替え、と言うか。」
「下らぬ事を言うな、貴様は。」
「ま、そう言う考え方もあるよね。」
「何故 我が握手をせねばなるまい。余計な慣れ合いは不要だ。」
「・・・あ、うん・・・分かった。 私、なりさんに嫌われてた、って思えばいいんだね・・・」
「?! 待て。何時、我が そのような事を言った。」
「や、今じゃん。『余計な慣れ合いは不要』って。」
「それを譜面通りに取るではないッ!」
「じゃぁ、どうとればいいの。」
「ッ 握手等、友好の証であろう・・・我は、そのようなものを好まんっ」
「えーっと・・・じゃ、私の儀式の為の協力、という事で。」
「 貴様の、儀式の協力・・・?」
「ん。皆さんに体当たりで接する、って事。傷付くのを恐れずに。」
「・・・それに、何故我が・・・」
「しないと、変に余所余所しくなるから。」
「・・・」
「だから、あーくしゅ、あくしゅ。しってくださいよー。」
「・・・。」
「あ、調子乗ってすいませんでした。」
「貴様・・・調子が大分違うではないか・・・。」
「だからオンとオフ。どっちかって言うと、素はこっちに近いんですよ。 早く慣れて下さいね。」
「・・・」
「げ、幻滅は酷いッ!」
「・・・いや、いい。我が慣れればいいだけの事だ。」
「よ、その言葉を待ってましたッ! 本当に ありがとうございます。」
「ッ その、急に態度を変えるのは止めろッ!!」
「いや・・・どうすれば本当に相手に自分の気持ち伝えられるかなぁって言うのが、未だに分からないから・・・ま、慣れてね!って事で。」
「・・あー、分かった、分かったッ!この、虚けがッ・・・! 何時までその手を出しているつもりかッ!!」
「え、なりさんが握手してくれるまで。」
「ッッ!!!」
「なりさんが握手してくれるまで動きませんよー。」
「・・・」
「おいおい、毛利。してやってもいいんじゃねぇのかぁ?」
「煩いッ!黙れッ 長曾我部ッッ!!!!我との握手、光栄に思うがいいッ!!」
「うん、思うわ。」
「ッッ!!!!」
「(Ah...毛利は、素直に弱い、と・・・。)」
「(毛利の旦那の弱点、なんか見つけた気分だね〜。)」
「あれ、二人とも・・・どうしたんですか?」
「いいやー。」
「No.」
「ふーん・・・あ、なりさん。ありがとう。」
「む。」

と、なりさんとの握手を終える。


とりあえず、自分との踏ん切りが着きました。



ずっと文才が無いのターン!\(^O^)/
しゃ礼の他にいい言葉が思いつかなかった・・・orz


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