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first & love
ヨン



『無敗の悪魔』

それは中学の頃、…渡辺 克也(ワタナベカツヤ)とセットで付けられた不名誉な渾名だ。
その渾名を思い出すだけで眉間の皺が更に深くなる。



克也とは家が近く俗にいう幼馴染みという奴で、不本意ながらガキの頃からの長い付き合いだ。
今も高校が一緒、クラスまで一緒という腐れ縁で、別にそれに関しては特に気分を害するもんじゃないんだが…

アイツの性格というか趣味というか、が一癖も二癖もあって、そのせいでアホみたいな渾名を付けられるはめになったんだ。


彼氏や彼女持ちの男や女を口説く…という、かなり痛い性格?趣味?悪癖?のせいで中学時代は喧嘩が絶えなかった。
俺達が、ではなく克也が寝取った子達の彼氏彼女達プラスその愉快な仲間達との喧嘩が…

克也も俺と同じバイで恋愛に男女の区別は無い。
勿論恋愛は自由だし人の色恋に口出す気もサラサラ無い、が克也曰く『人のモノっつーのが萌える!』との事で、彼氏や彼女持ちの男女をわざと選んで口説く点には正直呆れる。


まあ自分の男(女)を寝取られたとなりゃ腹も立つだろう、が仲間を連れ報復にやってくるのもどうかと思う。
しかもよく一緒にいるからって理由で俺まで巻き込んで…

そんな不条理な理由で巻き込まれ、元彼氏彼女ズに闇討ち不意打ち多対1等々…かなりの喧嘩を吹っ掛けられた可哀相な俺。

まあ何とか相手に負ける事はなかったが、その中にその辺り一帯を仕切っていた不良チームの幹部クラスの奴が交ざっていたのが悪かった。


最終的には不良チーム対俺達という構図が出来上がり、気付けばそのチームは壊滅状態…それが巷で有名になり、俺達を倒して名を上げてやるだの何だの…訳の分からない奴等にまで付け狙われる始末。

それで懲りれば未だマシだが全く懲りる様子も無い克也。



中学入ってすぐだったか、街でスカウトされそのまま始めたモデルの仕事…。

180の長身、白髪に近いサラサラ銀髪は襟足の部分が肩に掛かる程の長さがあるが不潔感は無く、瞳には碧色のカラコンを入れていて目立つ事この上ないが、その整った顔立ちに似合い更に魅力を増大する事に成功していた。…そう、昔からアイツの容姿は人目を引き、目立つ事が大好きなアイツはその容姿を活用した仕事をやっていた。

そんな只でさえ見目麗しい克也に靡かない奴等はおらず、例えコチラから声を掛けなくても向こうから声を掛けて来る事もしばしば…。
そして来る者拒まずの克也…、それが又新たな喧嘩の原因を作り…と、そんな事の繰り返しだった当時を思い出すだけで、マジ頭痛がしてくる。


そんな原因確率100%のバ克也のせいで喧嘩に明け暮れていた中学時代…





しかし、何時までもそんなバカばかりしている訳にもいかず、克也はモデルの仕事が忙しくなったのを切っ掛けに、俺は高校受験に専念する為に(悔しいが克也は頭も良く無勉強で高校合格しやがった)、街での遊び?を卒業したんだが…





中学を卒業し、高校生になった今も数こそ減ったが時々やって来るヤンキー共…


全く…アイツらは暇なのかバカなのか………
……否、両方か…




俺は無駄に目立つ事や争い事は好きじゃない…



だからわざと負けてやればこのうっとうしい事も無くなるんだが、まあ、俺のちっちゃなプライドがそんなバカ共に負ける事を許さず…












……………そんな俺にも原因…あるのかもしれないが…









はぁ…
なんか一気に老けた気分…
ここ最近あーいう奴等来なかったのにな。

今回はたまたま会った不良が昔の事を知っていた…という誠に不運な出会いの悲しい結果だったが、この事が後を引かない事を祈るばかりだ。








後日、その祈りが無駄だった事を理解するんだが…その時の俺は懲りもせず、そんな叶わない願いを無駄に祈っていた。

そう、懲りていないのは克也だけじゃなく俺も…だった。









**********

ガチャ…

「ただいまー」


……………


…?


自分ん家の玄関を開け声を掛けるが返事が無い。

出掛けたのか?母さん

靴を脱いで、リビングへと続く廊下を俺はいつも通りトテトテ…と歩く。


そう、呑気に…


本当に呑気に…



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あきゅろす。
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