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first & love
いつ
「…どうしたんですか?」

そう言って、真顔だったのがいつもの笑顔に変わった先生。

な、に…先生…何か、笑顔が…怖…い…?

いつもの笑顔なのに、何かオーラが…雰囲気が黒い気がする…。

「すみませんでした。確かに関係無い私なんかが、そんな事聞くなんて…不快にさせてしまいましたね。」

「いえ、そんな事は…」

俺は、慌てて否定し、首を振る。

「優しいですね、池田さんは」

そう言って、ニコリと微笑む先生を見上げると、もうさっきの黒いオーラは感じなかった。

「明日、お待ちしてますね」

「…は、はい…」

先生の笑顔に促され、俺は納得いかないながらも、診察室を後にした。












「で、どうした?」

「…何が?」

クリニックを出て克也の後を黙ってついて歩いていると、突然声を掛けられ返事が遅れた。

「『何が』はこっちが聞きたいんだケド…。何かされた?あのセンセに」

「…何も?」

「…今、チョット返事遅れたよね」

「そうか?気のせいだろ?」

カラカラ笑って克也の言葉に一瞬驚いたのを誤魔化した。

嘘…じゃないよな。変な格好で、首のキスマの観察?されたけど…アレは診察で、何かされた訳じゃない…し…。

「それより、何処行くんだ?制服のままでいいのか?」

早々に話題を変えてしまうに限る。疑いやすい克也の事だ、このままだと又グチグチと絡んでくるだろう。そうなると誤魔化しきれなくなる。

そう考えて俺は、克也の横に並んで肩に腕を回し、この後の行動を確認した。すると、何故か克也が驚いてうろたえた。

「な、なに突然っ!」

「何って、たまにはいいだろ?肩組むぐらい。お前だっていつもしがみついてくるし、今日はトコトン付き合うぞ!って気持ちの現れだよ」

「っそれがヤバいんだって…」

「何か言ったか?」

「何でもない!」

そっぽを向いてコチラを見ない克也。耳が赤いけど、照れてんのか?はは…そういうトコ可愛いよなぁ。そう思ったけど口に出せば唾飛ばして克也が反論してくるだろう事は分かっていたので声には出さなかった。

俺って超優しいよな。

そう心の中で呟いて、俺達は何だかんだとくっちゃべりながら街へと足を向けた。

その後、俺は俺って呪われてんじゃないか?と、真剣に悩む事になるんだけど、この時はそんな事に気付く訳も無く…呑気に克也をからかっていた。


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