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.。†蒼明の欠片†。.
狂想曲4
ゲリョスは十中八九、寝床と思われる場所に移動しただろう。


そしてその寝床に続いているのは先程ゲリョスが激突した壁のすぐ横にある道である。



「もう歩ける?」


隣で支えてくれていたリーナが心配そうな表情で問いかけてきた。




「なんとか大丈夫そうかな」


足どりはまだ少しおぼつかないが、この程度なら歩けそうだ。


ハイネは他の二人に心配をかけないよう気丈にふるまっている。


「二人とも遅い!早くしないとゲリョスが回復してこれまでの苦労が水の泡だし」


「はいはい。心配して損した」



「まぁ、いいじゃないデスか」



先陣を切って歩き出すハイネにリーナとアルはついてゆく。



そしてちょうど激突されて脆くなった壁の横を通り過ぎたところだった。






突然岩が崩れ落ちる轟音が辺りに響き渡り、三人に大量の岩石が降りかかってきた。




「どいて!!!」



「うわっ!」





何かに押され、転んでしまったハイネはふらつく体で立ち上がる。


どうやらアルが咄嗟に突き飛ばしてくれたおかげで直撃は免れたらしい。



背後では岩が落ちたことで白煙が舞い上がっている。


それが晴れてくるにつれてハイネは愕然とした。



「リーナ!!アル!!無事なら返事してくれ!」


二人の姿が見当たらない。

自分を助けたせいで岩に下敷きにされたという最悪の事態が頭をよぎる。



「まさか……二人とも…」




「勝手に殺さないでよ」




「リーナ!?どこにいるの!?」



「岩の向こう側。アルもいるわ」



「途中、岩が多少降りかかってきたんデスが、怪我はないデス。どうやらハイネだけゲリョスの寝床のエリアに行ってしまったみたいデス。」



「あんたの今の状態じゃゲリョスに歯が立たないからそこで待機してなさい。すぐに迂回して追いつくわ。」



「わかった……」


本当は一人だろうと立ち向かいたいのだがリーナの言う通りだ。



まともに大剣を振れるかもわからない。




僕にもっと力があれば...




とりあえず、休む場所を探そうと前を向く。


ここではいつ再び壁の岩が崩れるかわからない。



「ギエェェア」


不運にもゲネポスが数頭、目の前に姿を現す。


これでのんびり待機しているわけにはいかなくなってしまった。



「もう鳥竜種なんか嫌いだ……!」

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あきゅろす。
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