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.。†蒼明の欠片†。.
狂想曲3
崩れ落ちたといってもかろうじて意識は保てている。


ゲリョスはというと壁に叩きつけられフラフラと後ろによろめいていた。


前のめりに突っ込んだのだから当然の結果である。




「甘いわよ!!」


リーナが追い撃ちとばかりにゲリョスの頭部に打撃を加える。


バキン!


ガラスの割れたかのような音を立てトサカが砕け、さらによろける。



その様子からして打撃武器特有の現象、“めまい“という現象が起こったようだ。



ゲリョスがめまいから体制を立て直す前に…とハイネは立ち上がろうとするが、まるで体に力が入らない。

腕の筋肉もいまだに引き攣っている。




「お、お疲れ……ほら、つかまりなさいよ」



リーナがそっぽを向きながら手を差し延べてくれている。


ハイネのために隙を作ってくれたのだ。




「リーナ、ありがと」



ここで何か言ったらリーナの気が変わりかねないので、素直に差し延べられて手につかまることにした。



「リーナ、もっと素直に〜。かわいくないデスよ〜」


遠くでアルが野次を飛ばしてくる。



「うるっさいわよ!!」



リーナがキィキィとアルに反抗するがアルはしれっとした表情で受け流している。


その間にハイネは何とか立ち上がることができた。


膝が笑っていてリーナにつかまっていないと倒れてしまいそうだ。


ハイネは大爆笑している膝に恥ずかしさを覚えたのだった。




「グゥ、グエェェ……」


めまいから覚めたゲリョスがハイネに斬られた足を引きずりながら、逃亡を謀ろうとしている。


やつの命が風前の灯なのは火を見るより明らかだ。


「アル!!」



今の状態ではリーナとハイネは動くことができない。


アルはすかさず攻撃を加えるがゲリョスはその歩みを止めない。



「やられましたか……」


ゲリョスは三人を嘲笑うかのように飛び去っていった。



「ふざけずに息の根止めておけばよかったデスね」



「「お前のせいだろ!」」


二人の指摘をアルはポリポリと頭を掻いてごまかした。

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あきゅろす。
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