.。†蒼明の欠片†。.
狂想曲
怒りに我を忘れたゲリョスは全く見当違い全くの方向に突進していった。
巻き添えをくらったゲネポスなどの鳥竜種はゲリョスの突進や撒き散らされた毒によって次々とその命を落としていった。
ハイネとアルがゲリョスの相手をしていた間、ゲネポスの相手をしていたリーナからすれば嬉しい限りだ。
だがこちらに遠距離系の武器を扱う仲間がいない今、なかなか手出しができない。
ハイネが策を練っている間もゲリョスは狂ったように走り続けている。
「チッ!」
まずリーナに狙いを定めたようだが突進は真横にダイブされ避けられてしまった。
「よくもあたしの防具を……!」
しかし完璧には避けられなかったようで腰の部分が若干溶けてしまっていた。
リーナは反撃を開始する前にすかさず解毒薬を飲んだ。
防具に付着しただけとはいえ、防具が溶けた異臭から毒に感染する可能性は十分にあるからだ。
それにリーナの調合する解毒薬には毒への耐性を高める成分が含まれている。
ハイネは以前そのことを耳にしたことがある。
一度で予防と治療ができる万能薬なのだから鮮明に記憶の中に残っていた。
やがてゲリョスは矛先をハイネに向け、突進してきた。
ハイネはブレイズブレイド改を低く構えて対峙した。
そこから少し離れた場所にいたアルはその様子をただ見守っていた。
ゲリョスがゲネポスたちを一掃したのち、残りをリーナと協力して殲滅した。
おそらくもう現れてこないだろう。
“彼の潜在能力は父親以上だ“
アルはその持論を今もなお信じている。
「さぁ、どうしマス?……ハイネ」
一方でハイネは目の前まで迫っているゲリョスの恐ろしい形相には目もくれず、一点を見つめ、力を溜めていた。
「狙うなら………そこしかない!!!」
ぶつかる寸前、溜めていた氣を爆発させて左に移動し、すれ違いざま左足に力を入れて踏み込んだ。
同時に野球でバットを振り抜くかのように大剣を右側から横薙ぎに振り払う。
それはゲリョスの足、正確には太ももに食い込んだ。
押し返される大剣を必死に振り抜こうとする。
氣を溜めていたおかげで力が均衡し、ゲリョスの足が止まった。
ゲリョスは苦痛をもろともせず前に進もうと力を込める。
ぶつかり合って間もないがすでにハイネの腕は悲鳴を上げていた。
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