.。†蒼明の欠片†。.
静かなる策士
両者たがいに距離をとるなか、先に動き出したのはゲリョスだった。
「グギャアァァ!」
くるりと振り向いて猛毒をアルに吐きかける。
「っ…………!!」
なんとかギリギリ避けることができたが、アルが先程までいた場所は何かが焼けるような音を立てて白煙を上げていた。
もし、当たっていたならただではすまなかっただろう。
「やってくれマスねぇ..」
仕返しとばかりにアルが渾身の突きを放つ。
スノウギア=セカンドがゲリョスの皮に突き刺さり鮮血を吹き出させる。
同時にスノウギアが持つ氷属性が傷口を凍りつかせていく。
とはいえ、ゲリョスからすれば軽いかすり傷程度だ。
「あたしらも負けてらんないわよ!!」
リーナがハイネにかけ声をかけて攻撃を仕掛けようとする。
「そこだ!!!」
ハイネがゲリョスの背後をとり尻尾に斬りつける。
ゴム質の皮をバターのように引き裂き、肉が露になった。
背後をとられたことでゲリョスが顔をハイネたちに向けた。
待ってましたとばかりにハイネのうしろにいたリーナがハンマーを振るう。
ハンマーはゲリョスの顔の側面に当たり苦悶の声を上げる。
一方でアルに対して背を向けていたためアルはその間も一点を集中して突きを放っていた。
スノウギアによりゴム質の皮は持ち味のその柔軟性を失っていしまった。
三人ともゲリョスを攻撃しながらも周りのゲネポスたちにも攻撃を加える。
息をつく間もなく襲いかかってくるモンスターたちとゲリョスの相手を同時にするのは容易ではない。
ゲリョスはというとされるがままに度重なる攻撃を受け地団駄を踏んでいた。
「ここからが本番デス!!」
アルが凍りつかせた部位に砲撃を放つ。
パキィィィン!!
音を立ててゴム質の皮が砕け散った―――
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