.。†蒼明の欠片†。.
藍より蒼し
「よし、できた!!」
ハイネは美しく輝く欠片を自分の首飾りに通した。
何故か欠片の上の部分に穴が開いていたのだ。
まるで身につけてくれとでも言っているかのように………
きっと元々首飾りだったんだろう
ハイネはそう考えることにした。
「へぇー、なかなかいいかんじデスね」
ピンク色の鱗と蒼い欠片が互いを強調しあい、なんとも美しく儚げに揺れている。
アルの言葉にハイネも満足のようだ。
「リーナは何か見つけた?」
「調合書中級編ゲット!!前にメラルーに盗まれたから丁度よかったわ」
リーナが頬を緩ませている。
エレネ島の武器工房で愚痴っていた時のことが蘇る。
「泣き落としの道具じゃなかったんだね」
「当たり前だのクラッカーよ」
リーナは余程嬉しかったのかノリがいい。
「アルは何か見つけたの?」
「えーとデスね、こんなものが…」
アルの手には乗っていたのは小さな白銀のピアス。
「どうやらこれは護りのピアスみたいデス」
「……………!?」
アルの言葉に二人は少なからず驚いたようだ。
護りのピアスとは装備すると不思議と凄まじい反射神経が身につき、武器を構えていれば無意識のうちに防御してくれる代物だ。
そのかわり、頭には兜を装備できない。
一説では脳に特殊な電気信号を送り、人間の反射神経と防衛本能を最大限まで上昇させるらしい。
材料は下級ハンターでも容易に揃えられるのだが加工するには繊細な技術が必要なのだ。
「思ったんだけどさ……こんな盗賊まがいのことしていいのかな?」
ハイネには徐々に罪悪感が湧いてきていた。
「いいに決まってるじゃない。これ全部盗まれた物なんだし。使ってなんぼよ」
「お主も悪よのう」
アルが何故か不敵な笑みを浮かべ、リーナと握手している。
二人はハイネと真逆の考えらしい。
「いえいえ、お代官様ほどでも、ケケケ」
「時代劇かよ!!」
自分も蒼い欠片を頂戴しただけにハイネはアルとリーナに対してそれくらいのことしか言えないのであった。
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