.。†蒼明の欠片†。.
戦いの狼煙
翌朝、二人は酒場に来ていた。
「二人ともおはよう」
「「おはよう〜」」
ベッキーの言葉に二人が挨拶を返す。
「そんなに寝ぼけてたら、クエスト失敗するわよ」
新しい環境のせいか二人とも疲れたらしい。
目が半開きだ。
しかも言葉がハモったことにすら気付かない。
「ギルドマスターからの伝言で『まずはイャンクックでも狩ってくるのじゃ』だって」
「え〜、弱すぎるわよ。もっと強いのにしてよ」
「そうっすよ。イャンクックならエレネ島で腐るほど狩りましたよ」
二人が猛反発した。
「ふっ、まだまだね」
ベッキーが人差し指を左右に振りながら、微笑んだ。
「ここのイャンクックは田舎のそれとは比べ物にならないくらい強いわ。ここミナガルデ周辺は自然が豊かでなおかつアプトノスとかの草食竜の群れが多いのよ。だから、イャンクックは大きく成長するし、ランポスとかも多く生息するの。それだけ、モンスターも強くなるわけ。だから周辺の住民の依頼が殺到し、ハンターがそれを狩る。その利益でミナガルデが栄えるのよ。だからイャンクックだからって油断しちゃダメよ」
「なるほど〜」
ハイネはポンと手を叩いた。
そしてベッキーはさらに微笑み、
「もちろん、イャンクック以外の飛竜種も強いわ。だから、ここの環境に慣れるためにどう?」
「リーナどう思う?ベッキーさんは間違ってないと思うけど」
「う〜ん……まぁ、しょうがないわね。ベッキー、私たちそのクエストやるわ」
「そうこなくっちゃ」
ベッキーが満面の笑みで答えた。
「もうすぐ竜車が来るからそれに乗って出発よ」
「俄然、やる気出てきた!!」
ハイネは武者震いをする。
「そうでなくちゃ、ミナガルデに来た意味がないわ。やっと狩りができる…」
リーナもこぶしを固めてうなずいた。
二人は並んで戦いの場へと赴いた。
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