.。†蒼明の欠片†。.
同等の代価
「くぅ〜、やっと着きました、ミナガルデ」
リーナが伸びをしながら言った。
かれこれ3時間近くは竜車で揺られていた。
揺れる竜車のおかげで尻が痛いのなんの…
ハイネは未だに痛みが残っているのか腰に手を当てている。
あながち35歳というのも間違っていないのかもしれない。
ハイネの手の火傷は作戦会議の時に回復薬をかけ、包帯を巻いて応急処置をしておいたので大怪我には至らなかった。
あんな状態で溜め斬りができたなんて……
我ながら自分の運の良さに驚いた。
――――――
「おっかえりー!!クエスト成功おめでとう」
酒場に到着し、カウンターに向かい始めてすぐにベッキーに声をかけられた。
「バカみたいに強かったですよ。苦労したのに剥ぎ取りはほとんどできなかったし」
疲れもあってかハイネは愚痴をこぼす。
「ウフフ、まぁ、いい経験になったってことでいいじゃない。それで隣にいる方は?」
「あぁ〜、この人はアルっていってイャンクックに襲われているところを助けたら手伝ってくれて……あっ…」
今さら気づいた。
パーティーを組んでいない他人に狩りを手伝わせてはいけないってことに…
ノリで受け入れてしまったことに…
「ノリって恐ろしいわね...」
リーナはハイネの心中を知ってか知らずかそんなことを言っている。
ハイネもアルもうなずくしかない。
「う〜ん、それはまずいね。どうしましょ〜?マスター!!」
ベッキーはギルドマスターに事の次第を話し始めた。
「フムフム…アル、お主はツアーをしているところをこやつらに命を救われたと…じゃがカンニングはいかんのう」
「カンニングちゃうわ!!」
リーナがすかさずツッコミをいれ、マスターの髪の毛を一本ツンと抜いた。
「ンギャ、大事な財産を抜かんでくれぃ!」
涙目になって訴えるギルドマスターにリーナは極上の笑みを浮かべている。
何故かハイネも涙目になっている。
「リーナがツッコミをするなんて……」
我が子が巣立つのを見届ける親鳥のような眼差しでリーナを見ていた。
ベッキーは正直、苦笑いしかできない。
「大丈夫デス、責任なら取りマスよ。」
この一言でアルが一斉に注目された。
「ハイネ達のパーティーに入りマス」
「「なるほど!!」」
ハイネとリーナが見事にハモる。
「「って、なにぃぃぃ!?」」
しかも二回。
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