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婆裟羅
※傷を数えて<成秀満>
※学パロ


1、2、3……



「…何してるんですか」

「あ、バッカお前動くなよ」


放課後の保健室。
西日が差し込み始めたその場所に、2つの影。

薬棚の点検をしている秀満を、ベッドにどっかりと腰を下ろした状態で穴が空くほど見つめる成実。



「貴方…部活はどうしたんですか?」

「あぁ…今日はサッカー部がグラウンド使ってるから、野球部は農園で部活やってんだよ」

「だから?」

「逃げてきた」

「…それでも外部顧問ですか」


はぁ、と呆れて溜め息を吐く姿さえ、成実は見つめ続けている。


「…あの」

「あ?」

「…何してるんですか?」


言い様の無い居心地の悪さに、秀満が折れた。
いくら傍に居る時間が多いとはいえ、そこまで見つめられたことはなかったから。


「………穴」

「は?」

「ピアスの穴、何個有んのかと思って」


言われて、自分の耳に触れる。
飾りを填めた穴と、そうでない穴。
本人でさえ、数えるのを辞めたと言うのに。



「…数えてみますか?」

「良いのか」

「…この距離で、そんなに睨みつけられたらたまりませんから」


そう言って、成実の横に腰を下ろす。
耳を差し出すようにすれば、優しく手を添えてきた。

成実の無骨な指が、確かめるように傷跡をなぞる。
その度に、くすぐったいような・甘痒いような感覚が秀満の半身を駆けていく。



「逆」

「はいはい」


くるり・と体ごと向きを変えて、逆の耳を差し出す。
ひとつひとつ、優しく数える指に、少しドキドキしていた。



「…よし、他は?」

「他って?」

「臍とか、ねぇの?」

「空けてません。…知っているでしょう」

「じゃあ他は?」

「…昔は口にもしていましたが、もう塞がってますし」

「どの辺だ?」

「え?」


つぅ・と、成実の指が唇の近くを撫でる。
『そこです』と、指が触れた場所を告げる。


「ふーん…どんなの付けてたんだ?」

「耳から口に繋がったヤツとか……邪魔だったので、すぐ辞めましたけど」

「へぇ…」


気のない返事をしてすぐに、成実は


「ちょ…!なに…」


ぺろり・と、古傷の辺りを舐める。そしてそのまま、唇に食い付いた。


「っ…!」


逃げようと身を反らせば追い付かれ、挙げ句その流れを利用されて押し倒された。


「…なぁ、」

「…っ…なん、です…!」

息が上がった秀満。それでも、成実は余裕な顔で。

「何個有ったか、知りたいか?」

「…っいくつ…でしたか…?」

「秘密」

「は?」

『知ってるか』と、成実は続けて


「ピアスの穴って、性感帯らしいぜ」

「は!?」

「だから、そんなの知ってるの、俺だけで充分だろ?」


にやり。
色香を孕んだ笑い方に、身の危険を感じると同時に・甘いうずきが。





「お前のやらしいとこは、俺だけが知ってれば良いんだよ」

「…っこの馬鹿…!」





夕日に変わり始めた光の中で。

2つの影は、ベッドに備え付けられたカーテンによって、隔たれた。















おまけ


「おい!成実は何処行った!!」

「Stop 小十郎、今探しに行って、時のお楽しみを邪魔したらあとが怖いぞ」

「親父ー、成兄何処かな〜?」

「Ah、今頃Paradiseだろうな」

「成実ぇぇえ…!」









***


成秀満は破廉恥要員のようです。(わぁ…)

秀満は耳にだけたくさんピアス開けてます。
光忠は各耳に1個ずつ。
光慶は左耳に1個。


小十郎は、こういうとき邪魔できないタイプだと思います(笑)


20090531

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