婆裟羅 夕陽、金色<綱光忠> ※学パロです。 夕陽が熱い。 普段なら、もう家に帰って部屋で休んでいるか、部活で記事を作ったりする時間なのだけれど。 今日の僕は、そのどちらでも無いわけで。 「………終わんない…」 目の前に積まれたプリントの山。計2つ。 低い方はもう解き終わった奴で・高い方はまだ手付かずの奴。 おかしいでしょ、この量。 だって、僕の筆箱(布製)より高いんだよ?この山。 何て言うんだっけこういうの……あぁ。 「………拷問?」 「いきなり物騒な単語を出すな」 僕よりも、低くて優しい声。 僕の前の席に座るその人。 「……だって、鬼庭さんもそう思わないの?」 「光忠が何かしたんだろう?竹中の授業で」 「寝てただけだよ、しかも40分くらい」 「それ、殆んど授業終わってるじゃないか」 何が面白いのか、僕の前にいるその人は心底おかしそうに顔を歪める。 そうそうその顔。女子からかなり人気あるんだよね。 「だって…竹中センセ、授業のほとんどは中等部の豊臣のことしか話さないんだもん。退屈」 「あぁ、あいつは昔からそういうところがあったからな」 未だ目を細めて、面白そうにしているその人。 野球部の外部顧問として校内をウロウロしていたところを、(僕の監視の為に)竹中センセに捕まったそうだ。 僕の嫌いな人(竹中センセとか)より、親しい人間に監視させる方が都合が良い、と竹中センセ御本人が判断したそうで。 (相変わらず嫌なこと考えるよね、あの先生。) 「…本当無理、逃げよう」 「駄目だ。後々もっと面倒なことになる」 「じゃあ、手伝って」 「私が高校卒業してから何年経ったと思ってるんだ?」 ぶぅ。と僕が頬を膨らませたら、それすら愛しそうに見つめてくるから。 (何か、こっちが照れる) 仕方なく、再びシャーペンと新しいプリントを取る。 その人は、未だ手付かずの山から一枚取って問題を眺める。 (時々、『懐かしい』なんて声が聞こえてきたりする) 適当に答えを書いて、次のプリントに手を伸ばす。 ちらちらと、視界に 金色。 「……鬼庭センセ」 「何だい、光忠君」 (わざとらしい返事。遊んでるな) 「…眩しいです」 「じゃあ、カーテンを閉めようか?」 「や、そうじゃなくて」 「ん?」 きらきら ちらちら 僕の視界を占領するのは 「………髪」 「え?」 「鬼庭センセの、髪。眩しい」 夕陽に光る、その人の髪。 僕の髪よりも色が薄いから、余計。(ちなみに、僕のは自毛だ) 「…それは困ったな」 自毛なんだけど、と付け足して笑う。 「…知らなかった」 「そうか?まぁ、昔はもっとまともな色をしていたんだけど…ずっと外にいるから、焼けてしまったんだろうな」 困ったな、ともう一度。 長い所を一房掴み、自分の髪を眺める。 今は下がり気味の眉さえ、同じ色なんて。 「…眩しい」 「そう言うな。今度、染めるよ」 「それは駄目」 僕の即答に、その人は妙な顔をする。(正直、僕も驚いたけど) 「どうして?目に付くなら、その方が良いだろう?」 「だからって、わざわざ染めなくても…」 「だって、」 (優しい目。僕へ。愛しそうに) 「そうする事で、光忠と長く居れるならね」 ………………。 (あぁ、そうだ。そう言えば) 「…今、二人きりなんだっけ」 「今、気付いたのか」 残念そうな・面白そうな表情。 うっかり確認してしまったせいで、僕の顔まで熱くなった。 「…うん。やっぱり、染めなくて良いよ」 「何故?」 ちらちら きらきら (貴方の色) 「その方が、分かりやすいから」 (貴方と居るって、こと) 「…そうか」 その笑顔に、 (やっぱり、好きだな) なんてことまで確認してしまったのは、内緒。 「…ところで、光忠」 「なに?」 「冗談でも『先生』と呼ぶのは、やめてくれないかな」 (そばにいたいから) 終 ただでさえ年が離れてるのに、『先生』とまで呼ばれたら鬼庭さんだって立ち直れません(笑) 某アニソンがBGMとか内緒です(←) ちなみに、光忠は新聞部兼保健委員です。 20090125 [前へ][次へ] |