婆裟羅
放課後的日常茶飯事<信忠+利長+秀頼+久通>
※学パロ
「のーぶたーだ殿!」
HRも終り、欠伸を噛み殺しながら帰宅準備を始めたその時、入り口から元気すぎる声がした。
野生的で本能剥き出しって感じの声は、親父さんにそっくりだ。
「いーっしょにかーえりましょ───!!」
毎度毎度、よく飽きねぇ奴。
最早、俺のクラスでは日常風景と化していて(そいつとはクラスが違うはずなのに)、もうクスクスと笑う女子もいなくなった。
「いーっしょーに…」
「るせぇぞ利長、一回聞きゃ分かる」
「さっすが信忠殿、話が早い!」
いい加減、慣れた。と言うか呆れた。
「…飽きねぇのな、お前」
「ん?何か言ったっスか?」
「別に。…お前、部活は?」
「サッカー部が試合が近いらしくて、グラウンドが火の海なんだ!だから無理!」
サッカー部と言えば、体育担当の真田と武田のガキが居る。
父親同様、2人共一度(文字通り)燃え上がったらキリが無い。部活をしなくて正解だろう。
「あ!ひーでよーりぃい!!」
廊下を少し歩くと、2つ隣のクラスから見知った後ろ姿を発見し・利長は廊下全体に響くほどの大声を上げた。(隣に立つ身にもなってほしい)
すると、その後ろ姿は一度ビクリと震えた後、恐る恐る振り返る。(まぁ、あれだけ大声で呼ばれたら少しはビビるよな)
「…あ、なんだ利長くんか」
心底安心したような・人の良い笑顔を浮かべて、その場に立ち止まる。
利長がそこまで走って行って、勢い良く秀頼と肩を組んだ。
「秀頼!お前も今日直帰?」
「うん。今日は生徒会もないし…利長くんも?」
「おう!信忠殿もだ!」
利長は、2人に追い付いた俺とも勢い良く肩を組み『じゃ、3人で帰ろうな!』と心底嬉しそうに笑う。(まぁ利長はいつも笑ってるんだが)
「なぁ!途中で何か買い食いしないか?某、もう腹減って…」
「邪魔」
後方。かなりの至近距離にて。俺的に、一番聞きたくない声がした。
沸々と血が煮えるのを抑えながら振り向けば、
「…久通」
「邪魔だって言っているだろう。君達はいつまで僕の通り道に立ち塞がる気だ。退け。」
ウザったい程長い前髪から覗く目が、心底苛ついているように睨む。何故か、俺だけを。
「あぁ?帰りてぇんなら向こうの階段行けよ。こっちはこっちで話してんだよ」
「冗談じゃない。何で僕が譲歩するんだ。僕はこっちの階段を通りたいんだから、そっちが退くべきだろう」
「んだと?」
「…なんだよ」
一触即発の睨み合い。
しかし、それはあまりにあっけなく。
「久通、偶然だな!お前も直帰?」
「は?別に関係無い…」
「そうなんだな!よし、じゃあ一緒に帰ろう!!」
「「はぁ!!??」」
思わず久通とハモってしまった。(だが今はそれどころじゃない)
「おい利長!お前わざと言ってんのか!!俺がコイツのことどんだけ嫌いか知ってんだろ!!」
「心外だが、同感だ。僕はこんな奴と一緒に居たく無い」
「えー?だって多い方が楽しいし…」
「こいつと居て楽しいわけあるか!!」
「そっくりそのまま君に返す」
「んだとこの根暗!!」
「黙れこの学園の恥」
「ま…まぁまぁ」
再び睨み合う俺と久通の間に、ほわほわした(でも何処か苦笑いに近い)笑顔を浮かべた秀頼が入り込む。
「とりあえず、下足棟まで一緒なんだからそこまで皆で行こうよ。ね?」
控え目な声と笑顔に、互いに殺気を少し和らげて・俺も久通も仕方なしに了承する。
「良いか、下足棟までだぞ」
「五月蝿い。君の頭と同じ造りだと思わないでくれ」
「んだと…」
「まぁまぁ…」
「なー久通!お前なに買う?最近さ、この辺に美味いたこ焼き屋が出来たって聞いて…」
「「下足棟までだと言っただろうが!!」」
放課後的日常茶飯事。
「あっ!秀頼の方がタコでかい!」
「利長くんだって3個もオマケもらってたじゃない」
「店主、僕のにはもっと鰹節かけてください」
「何で結局皆で来てんだよ!!」
終
信忠がリーダーで利長はムードメーカー、秀頼は仲裁者、久通は巻き込まれた人(笑)
という4人の関係が堪らなく可愛いと思いますはぁはぁ(←)
結局毎回このメンツで下校してたら良いと思います。
20090125
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