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出雲探偵記


―私立、星星(フタツボシ)学園高等学校。

今、この学校ではある噂が広まっていた。

―“カゴメの呪い”?

―うん。なんかね、月の出ていない暗い夜に出るんだって。

―1人で歩いてると、どこからか唄が聞こえてくるんだってさ。全て聞き終えると、突然強風が吹いて、通り過ぎるまでの間に首を絞められる…

―唄が“かごめかごめ”だから、“カゴメの呪い”なんだって。






「呪い、ですか…」

担任の矢杉基一に連れられて教室に着くまでの間に聞かされた話…最近学生たちの間で話題になっている噂だ。

「実は、聞こえてくるのは唄だけじゃないらしいんだ。これも“呪い”と言われる理由の一つだろうね…」

「何が聞こえてくるんです?」

職業柄、一度疼き出した好奇心は止められない。

「…若い女性の声らしいんだけど…唄と別に、助けを求める声が聞こえる、とのことだよ。」

「…そうですか。」

一見、表情や声に変わりはないが、心中では新しい玩具を貰ったときのように、感情が高ぶっている。

「ここが、僕が担任のクラスだよ。少し話をしてくるから、呼んだら入って。」

そう言い残して、矢杉は教室に入って行った。

「〈呪い、ね…面白くなりそうだ…〉」

廊下に残された弥国は、教室のドアに体を預けて、1人、愉しげに笑みを浮かべていた。


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