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ある昼下がり。
一人の女性が執務室の扉を叩く
女性の名はシーリーン・クロウド
菖蒲の騎士団、副団長である

「アルティナ様
書類をお届けに参りました」
「入ってくれ」
「失礼いたします」

部屋に入ると部屋の主、アルティナが書類整理に追われていた

「財府からの会計報告です
目をお通しになられたらサインを
お願いします」
「ありがとう。急ぎの物か?」
「いえ。書類整理が一段落なさってからでいいですよ」
「ハハハ…ありがとう。助かるよ
整理を怠っていたら
こんなことになってしまってね
ヴァイツにとことん、叱られたよ
大体は終わったんだが…
よくもまぁ…溜め込んだと
我ながら思うよ」

そう言って伸びをする
シーリーンは首を傾げる
ここまで騎士団長をてこずらせるのだから"溜め込んだもの"は相当な量だろうと予想は出来るが
いまいち、ぴんとこなかった
そんな彼女を見たアルティナは
指で別の机を無言で指差す
机の隅に置かれている
処理済みの書類
シーリーンは目を見開く
自分の腰位の高さまで積み上げられた書類の山が四つ
決して彼女の身長が低い訳ではない。165センチは有ると自負している
相当な量だ。
一体、どうすればこんなに溜め込むことが出来るのか

「ハハッ。凄いだろ?
待たせたな。これでいいか?」

アルティナに向き直ると先程
自分が持ってきた書類を渡される

「あっありがとうございます」
「いや、こちらこそ。
待たせてしまって済まなかった」
「いえっ!!」
「そうか。よかった」

微かに笑みを浮かべるアルティナに見惚れるシーリーン
同性から見てもアルティナの
容姿は整っている


「さてと…終わったことだし
一眠りするかな…」
「えっ!?終わったんですか!?」
「あぁ。シーリーンが来た時点で
殆ど終わっていたからな
どうかしたのか?」
「あっあの。
クロスロード騎士団長から
お菓子を預かったのですが…」
「レオリアが?
よく作るなアイツも」

出来ればアルティナと一緒に食べたかったのだが本人が疲れているようなら諦めるしかない
落ち込むシーリーンを余所にアルティナは紅茶の用意をし始める

「アルティナ様?」
「シーリーン、紅茶は飲めるか?」
「はっはい!!……はい…?」
「ケーキに合うのは紅茶だろ?
なにか不味かったか?」
「いえっ。そうではなくて…」
「折角だ。一緒に食べないか?」


言おうとしていた事を先に言われたことに驚きつつ
シーリーンは嬉しそうに頷いた

「はいっ!!」




憧れの存在
(アルティナ様!!書類は!?)
(ヴァイツ、煩い。
心配するな、終わったよ。ホラ)
(息切らして…
そんなにアルティナ様を
信用出来ないの?)
(シーリーンは雪崩を知らないからそんな事が言えるんだ
はぁぁ…本当によかった…)




2008.10.21
ヴァイツはアルの代わりに鍛練所で騎士達の相手をしてました。じゃないとアルが行くからです(・∀・)



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