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なんとか彼は止まりました
中庭に設けられている鍛練所
何時もなら騒がしい筈の騎士達が唖然としていた。
圧倒されている者、呆れて何も言えない者、状況を理解できていない者。皆が鍛練所の隅を見ている


「うぉおぉぉりゃあぁぁぁっ!!!!」


皆の視線の先では雄叫びをあげながらソヌンが素振りをしていた
しかもかなりの早さで
剣が飛んで行ったとしても見ていた全員が当然だと頷くだろう


「なっ何だよ…!?アイツ!?」
「知らないのか?ほら…歓迎会の」
「あぁ。ソヌン・レイグランドか…」
「団長に突っ込むなんて
無謀にも程があるだろ…」
「滅多打ちにされてたよな…?」
「おいおい…二日で復帰してんじゃねぇか」
「あーあ…他の騎士団に行くって賭けてたのに」
「っしゃ!!酒、奢りな!!」
「つーか。あれ意味ないだろ。絶対」
「そこ、ツッコむな。皆思ってても言わないんだからさ」
「いつから、ああなんだ?」
「一時間前」
「はぁ!?」
「お前、止めてこい」
「無理に決まってんだろ!!」
「でもあのままじゃ俺らにも被害が来かねない」
「暫く見てるか…」
「だな」
「止めろ」
「無理だって言ってんだろ!!」
「寧ろ頭に剣が刺さってしまえ」
「お前なぁ…」



そんな光景をアルティナ執務室の窓から見ていた

「フッ…ッ…フフ。
あははは!!アハハハッハハハ!!」

「笑ってないで仕事して下さい」

椅子の上で大笑いしている彼女をヴァイツが呆れたように見ている
この人はツボにはまると中々抜け出せないのだ


「ハッハ…腹が捩れるっ…!!」

「手を動かしてください。腹が捩れてもサインは出来る筈です」

「ハッハハハハハ…ハハ…ハッハハハハハ!!」

「……………………………」

――――――数分後――――――

「はぁ…やっと収まった…
まさかソヌンがあんなになるとはな…少しいじめ過ぎたかな?」

「足りないぐらいです
それにしてもアレ、何なんでしょうかね?」

「精神統一らしい」

「は?」

「レイグランド卿、ソヌンの父上から聞いたんだ
決闘で負けた後ああなっても
止めないやってでくれと
まさかこんなに凄まじいとは
思わなかったよ…クッククク」

ヴァイツも窓から外を眺める

「…立ち直りますかね?彼。」

「立ち直るさ、必ず。
ソヌンはヴァイツと一緒で芯が強いからな」

「一緒…ですか?」

「自覚ないのか?
似ているよ、お前とソヌンは
曲がった事が大嫌いで、何かを掴もうと必死に歩き続ける
たまに熱くなりすぎる
まぁ…そこが良いところだが、な」


悪戯っぽく騎士団長は笑った






蒼天の下で願わくば
(あ…剣が外れそう)
(誰かぁ!!団長か副団長呼んで!!)
(何だか賑やかになったな
どうしたんだろう)
(さぁ…)





2008.10.10
これだけは言わせてください…
本当にスミマセンっ…!!






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あきゅろす。
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