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医務室前廊下にて
ヴァイツは医務室を後にし長い廊下を歩いた
彼はふと立ち止まり、進行方向を向いたまま後方に話し掛ける

「盗み聞きですか?
クロスフィールド騎士団長」

物陰に潜むようにその男は立っていた。軽装ではあるが漂う雰囲気が常人のそれとは違う

「僕もあの子が気になってたまたま、医務室にいったら君の説教にたまたま、遭遇しただけさ
盗み聞きなんて人聞きの悪い」

「…貴方がそう言うならそういう事にしておきましょう
それよりシーリーンが探していましたよ。こんな所に来る暇があったら貯めている書類を早くこちらに回して頂けませんか?
では失礼します」

ヴァイツはこれ以上話したくないと言うかのように早々とその場を後にしようとする
そんな彼の背中に菖蒲の騎士団長は独り言のように呼び掛ける

「そんなに彼が羨ましかった?
なんの躊躇いもなくアルティナに向かっていた彼が」

ぴたっとヴァイツが足を止める
まだ顔は前を向いたままだ

「仰っている意味が解りかねます」

「アルは無自覚だけど何と無く彼女には近寄りがたい雰囲気がある
まぁ…それは彼女の強さのせいなんだろうけど
君も最初は全然近付けなかったから解るはずだ
でもソヌン・レイグランドは違った。避けるどころか決闘まで申し込んだ
ただの馬鹿なのか、それも才能なのか僕には解らないけどね」

「何が言いたいんですか…?」

「君はアルに叩きのめされれば彼はアルを恐れて近づかないとでも思った?
寧ろ彼の場合は逆だね
これからもっとアルの後を追い掛けるようになるよ
君がやったことが裏目に出た…残念だったね」


ずっと前を見ていたヴァイツが振り替える
レオリアを睨み付ける目には激しい憤怒の色が
そんな視線をレオリアは受け流す


「彼女の隣にあるのは自分でありたいって?
そこまでいくと敬意じゃなくて依存だな。ヴァイツ・ローレル」

「そんな俺を一時でも弟子にしたのは貴方ですよ?」

「馬鹿言うなよ。
あれは監視するために預かっただけだ」

「苦し紛れの言い訳ですね」

「ハッ!心の内探られて焦ってる野郎に言われたくないね」

睨み合う二人。
手は両者とも剣にかかっている

「やっと見つけました…団長!!」

「げっ…シーリーン。」

「げっ…じゃありません。行きますよ!!ヴァイツ、ありがとう!」

「あぁ…」

突然の乱入者にその場の緊張感は消える
引っ張られるように横を通り過ぎるレオリアがこちらを向く
声にはせずにレオリアは告げる


安心してると掠め取られるよ




傍観者の思わぬ乱入
(ナイスタイミングだったね)
(あれ以上ほっておいたら大変ですから…あまり彼をからかわない方がいいですよ)
(何言ってるのさ。彼をからかうこと程、面白い事はないよ。だからやめる訳ないだろ?)
(はぁ…)


2008.10.04
長くなってスミマセン…



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あきゅろす。
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