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始まりを始まりと誰が知り得よう?
木漏れ日が眩しい穏やかな中庭
そこに青年が何やら慌しく人の名を呼んでいる
人を探しているようだ

青年と言っても立派なローブに身を包み
細かい彫刻が施されている剣を携えている
彼の名はヴァイツ・ローレル
白百合の副騎士団長である人物だ
彼が焦るのも無理はない
何せ騎士団長が新しく入隊した者達の歓迎会に現われないからだ

「アルティナ様!!歓迎会には顔を出す約束でしょう!
いい加減出てきてください!!
俺、書類の整理二度とやりませんよ…出てきてください…アル!!」

「それは困る。
私は書類整理が嫌いなんだ」

そう言ってヴァイツが立っていた
近くの木から一人の女性が飛び降りてきた
黒い長髪に灼眼。
息を飲むような端正な顔立ち
だがそんな彼女が只者ではないと警告しているのは腰に携えている二刀の刀
彼女の名はアルティナ・ネオ・グランドメイツ
白百合の騎士団、団長である

「嫌なら最初から出てきてくださいよ」

「仕方ないだろ。
今まで寝ていたんだから
ヴァイツが書類整理は二度としないというから飛び起きたんだ」

「はぁ…そうだと思いましたよ…そんな事より歓迎会は始まっています
来てくれますよね?団長?
じゃなきゃ、書類の山が書斎で待ってますよ?」

ニコリと効果音が付くほどの笑み

「うっ…最近、レオ並みの腹黒さだぞ…」

「菖蒲の騎士団長のことですか?それは光栄ですね」

「…(受け答えまで似てきたな)」

「アル?」

「何でもないさ…
だが、何故今年の歓迎会は私が出なければならないんだ?
毎年、お前が騎士団長代理として仕切ってきたじゃないか?
何故今年に限って…」

ヴァイツがアルティナの言葉を遮り語る

「今年の入隊者の中に曲者がいるんですよ」

「曲者?」

「レイグランド家の嫡子
ソヌン・レイグランド」

「あぁ…噂には聞いている」

アルティナが苦々しく答える




(とてつもなく嫌な予感がする)



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あきゅろす。
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