死にたがりやの少女
*
#ザクロサイド#
何故俺は手を止めたのだろう。
あの時あの少女の首をしめた。
すると彼女は苦しそうな顔をした。
したのに彼女は有り得ないくらいのとびきりの顔で笑った。
無理矢理殺される人がこんな時にこんな笑顔を浮かべるなんて初めての体験だった。
彼女の絞める手を止めた自分にも驚いたが、必死に汗をかきながら走ってきた白蘭にも驚いた。
考え事をしているとブルーベルがやって来た。
「……何ぼーっと立ってるの?ってわあ、美味しそうなカレー」
パクッ。
モグモグ
ゴクンッ!
「………凄く美味しい!」
「…………………」
「…きゃっ!何するのよ!」
ブルーベルが怒っているが気にせずスプーンを奪い、カレーを口に頬張る。
いつもの味気無いカレーとは大違いだった。
気付いたら全て食べ終わっていた。
「……そんなに私が食べたのが食べたかったの?」
ブルーベルがおかしそうに聞く。
「バーロー。んなわけは絶対ない。………」
「………何よ!…………って考え事?私の話ぐらいきいてよ!」
そう言って頬を膨らませ、服の裾を引っ張る。
今の俺にはあの微笑んだ少女で頭が一杯だった。
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