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死にたがりやの少女
*

「…此方に僕と同じ顔をした奴が来なかったかい?」

走って入ってきた白蘭の額にはうっすらと汗が見える。

「………」

「怪我をしてないから来てないみたいだけど…、アレ、《ghost》には気を付けてね。危険だから。僕は用事があるから行ってくるね」

早口で巻くし立て、部屋を出ていく白蘭を冷静に見つめる私。

「《ghost》」

口を開き声に出して言ってみる。
彼は哀しい瞳をしていた。
私にはわかった。
無ではなく、その瞳には同じ白蘭でさえ気付けない程にうっすらと、哀しみの色が映っていたこと。

「……」

私と同じ哀しみの色

ねえ白蘭さん、貴方の瞳には《ghost》も私も生きて見えますか?

《ghost》の瞳は死んでいた。泣いていた。
解放出来ない想いが彼を暴走させる。

「…」

その瞳が告げていた。

―生きるって何?―

糸の切れたマリオネットのようだった。
狂ったまま生きるという意味を棄てて崩れ堕ちて行く。
憐れな運命に逆らえない人形。
私にそっくりだ。



それから暫く白蘭達は忙しそうだった。
鎖で繋がれた私は独りでいることが多くなった。
私は何の為に此処にいるのだろう?


「……白蘭様が、負け、ました」

いつも御飯を運んでくれる人が私に顔をうつ向かせ、気まずそうに私に言った。

「…」

白蘭が負けた。
これはきっと白蘭の死を表しているのだろう。

何故死んだの?
私を揺さぶって、生かして、…

知ってた?
私は気付いたら貴方を好きになってたの
ねえ、どうして死んだの?
私を籠に閉じ込めるだけして…
私を残して、逝かないでよ。


あの後私は解放された。
解放されて残ったのは貴方への愛。

私は貴方を好きになりました。
私に愛をありがとう、そしてこの世界にさようなら、貴方に今から逢いに行きます


bad end.

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